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講義No.09312

理工学分野の知識と技術が、看護業務のあり方を大きく変える!

理工学を看護に生かす新しい研究領域

 医療現場において看護師の役割は非常に大きく、その分、担当業務は多岐にわたります。あらゆる医療専門職の中で、看護師が最も忙しいと言っても過言ではないでしょう。加えて、看護業務に使われている用具類はローテクなものが多く、効率の悪いやり方が当たり前になっている業務も少なくありません。そこで、理工学の技術を使って看護業務を効率化する、「看護理工学」という学問分野が誕生しました。

「光」を使って、薬の血中濃度を計測する

 患者さんのケア業務の中で看護師たちを悩ませるのが「服薬管理」です。処方された薬をきちんと服用しないと、治療効果が現れないこともあるからです。
 薬を飲まなかったり飲み忘れたりする問題を解決するため、1日分の薬を個別に入れるピルボックスなどのアイデア商品が生まれました。しかし、本当に大切なのは「飲んだかどうか」ではなく、必要な量の薬が「体に吸収されたかどうか」です。そこで、物質に光を当てたときに発生する散乱光の波長の差で、物質の分子構造などを調べる「ラマン分光法」を用い、患者さんの涙液から薬の血中濃度を確認する装置が開発されました。

将来の看護のあり方まで変わるかも

 高齢患者や運動機能障がいの患者さんの「褥瘡(じょくそう=床ずれ)」も、看護師を悩ませる問題の一つです。褥瘡が生じると、そこから細菌感染する恐れがあるからです。褥瘡の原因となる血管閉塞を発見するため、超音波を用いて映像化する検査法がありますが、極細の血管の様子までは確認できません。
 この問題も、光を利用し、反射光の波長を超音波で計測する「光音響イメージング」という技術によって解決できました。光を当てるのに使うのは、持ち運びが簡単な小型LED灯なので、在宅療養患者の訪問看護などにも使えます。このように看護理工学の研究が進歩すれば、看護業務が大幅に効率化され、看護のあり方が大きく変わることになるかもしれません。

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この学問が向いているかも 看護工学、看護理工学

広島工業大学
工学部 電子情報工学科 教授
山田 憲嗣 先生

メッセージ

 もしあなたが、工学部や理工学部に進みたいと考えているなら、やはり物理、数学、化学などはしっかり勉強しておいた方が有利です。ただし、「有利」なのであって、それが「絶対」ではありません。同じ理科系科目でも、高校と大学とでは学びの本質が違うからです。
 工学・理工学の学びを通じて社会に貢献するために、むしろコミュニケーション能力を高めたり、現代社会の背景である歴史、風土などに関心を持ったりすることの方が重要だと、私は考えています。いろいろなことに関心を持つ気持ちを大切にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 高校3年生の時、病気で一時的に目が見えなくなり、大学病院に入院ました。原因は特定できなかったものの、光を失ったことで、逆に「光」に興味を持つようになりました。1カ月ほどで普通の生活ができる視力に回復しましたが、その出来事がきっかけとなり、サポートしてくれた医療スタッフを、工学的な技術で支援するシステムはできないかと考えました。そこで、理学部で「光物性」について勉強した後、工学部で電子回路や光計測を研究。広島工業大学に着任後、看護分野と理工学分野とを融合させた「看護理工学」の領域を立ち上げました。

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山田 憲嗣 先生がいらっしゃる
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 広島工業大学は、工学部、情報学部、環境学部、生命学部の4学部・12学科および大学院工学系研究科の1研究科・7専攻で構成される理系総合大学です。「社会・環境・倫理」というキーワードのもと、人を幸せにする技術者の育成をめざしています。
 一人ひとりをしっかり育てる教育で、全国トップレベルの就職実績を実現。また、経済面を支援する「HITスカラシップ制度」や女子学生を全面的にバックアップするJCD(女子キャリアデザイン)センターを設置するなど、皆さんの学生生活をしっかり応援します。

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