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講義No.09261

コメが世界を救う! ~生産性向上をめざしてコメの品種改良に挑む~

コメのハイブリッド品種とは?

 野菜は、販売されている種子のほとんどがF1品種(一代雑種品種)になっており、農家でも種子を採取せずにF1種子を購入して植えることが一般的になっています。F1品種とは、両親の良いところを併せ持った品種を作るための究極の育種法を利用した品種です。縁の遠いもの同士を交雑して品種を作ると両親より強くて立派に育つのです。この技術を利用して寒さや病気に強く、しかも収量が多いハイブリッドなコメを作る研究が進んでいます。ハイブリッド品種の強勢は一代限りなので、コピー製品を作れないという権利面の利点もあります。

両性花が雌花になる分子メカニズムを利用

 イネは1つの花の中に雄しべと雌しべがある両性花で、雄しべの花粉が同じ花の雌しべに付いて受粉する「自家受粉」でコメ粒を作ります。雄しべが花粉を作るときに重要な役割を果たすのがミトコンドリアです。細胞の中で核とミトコンドリアの相性が悪いと花粉が死んでしまい、花粉がなくなると雌花になります。この分子メカニズムを利用して花粉のないイネを作り、別の系統のイネの花粉を受粉させれば、ハイブリッドなイネができるのです。
 中国では収量を増やすことを目的にハイブリッド品種の栽培が主流になっています。日本にも「みつひかり」という品種があり、一般品種より30%ほど多く収穫できるのですが、イネの総栽培面積の0.1%しか栽培されていません。コメが余っている状況もあり、なかなか広がらないのです。

世界の食糧不足を救うために

 アジアやアフリカの多くの国では食糧難が続いています。人口増加も予想され、食糧不足は今後も重要な課題になるでしょう。コメは世界人口の約50%の人が主食としており、品種改良による生産性向上は、こうした食糧問題の解決に貢献できると注目されています。国内で増え続ける休耕田などを利用してハイブリッド品種の種もみを作り、海外に輸出することで世界の食糧不足に応えられるため、イネの遺伝子研究への期待が高まっています。


よくわかる遺伝子組換えとゲノム編集植物

この学問が向いているかも 遺伝学、育種学

東北大学
農学部 生物生産科学科 教授
鳥山 欽哉 先生

メッセージ

 「好きこそものの上手なれ」と言いますが、あなたも好きなこと、打ち込めることを見つけてください。
 私は世界に1つだけの花を作りたくて東北大学農学部に入り、大学院のときに細胞融合を使って夢を実現しました。現在はコメについて分子遺伝学的研究を行っています。大学は自分で研究テーマを見つけて研究し、解決するためのトレーニングを行うところであり、大学院は教科書に書いていないことを研究するところです。大きな夢とチャレンジ精神を持っているあなた、ぜひ一緒に、熱意を持って研究に取り組みましょう。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から植物が好きで、食虫植物を栽培していました。世界に1つだけの花を作りたくて、農学部へ進み育種学の研究を始めました。大学4年のときに見たテレビ番組で、ハイブリッドなコメの存在を知ったことが、イネの遺伝子を研究するきっかけになりました。大学院では、キャベツとサハラ砂漠の野生植物の細胞を融合させて世界に1つだけの花を作ることに成功し、イネの遺伝子組み換えにも成功しました。20年の歳月を費やしてイネの遺伝子の実態を明らかにし、現在はハイブリッドなコメの実用化をめざして研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国や県の農業試験場研究員/種苗会社研究員/農学部准教授・助教

大学アイコン
鳥山 欽哉 先生がいらっしゃる
東北大学に関心を持ったら

 建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。

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