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講義No.09220

史実とは一体何なのか? 金印に秘められた歴史の検証へ!

弥生時代の日本の外交の足跡を示す、あの金印

 歴史の教科書に必ず出てくる「漢委奴国王(かんのわのなこくのおう)」と彫られた金印は、江戸時代に発掘された最も小さい国宝で、日本の外交史の扉を飾るものです。
 「委」は日本を、「奴国」は現在の福岡平野あたりを意味します。そのすぐ西側の伊都国(いとこく)という国があった場所では中国の前漢時代の鏡が三十数面も発掘されており、伊都国も漢帝国から、最先端の文物を手にいれていたことがわかっています。つまり紀元前1世紀、中国では前漢、日本では弥生時代の中頃から北九州地方は中国と頻繁に往来があり、その中で金印をやり取りするような政治交渉が起こったのです。

「本物 vs 偽物」論争

 ところが印面の彫り方に関して、中国の後漢の時代の彫刻技術が江戸時代にも可能であったということを根拠に、金印が偽物であるという学説が出てきました。そこで、金印をいろいろな角度から改めて検討するという作業が2010年から行われ、以下の点が検証されました。
 まず、印面に彫られている文字が後漢の初めに特徴的に見られる文字と同じ形態であるということ、そして印のサイズが後漢のものと一致するということ、さらに金の純度や金属組成、ツマミの形、紐孔(ひもあな)の底の凹みも、江戸時代には知りえない事実であるとわかりました。つまり江戸時代の彫刻技術を持ってしても、これらの条件はクリアできないため、偽物の製作は不可能だと考えられます。

過去の資料を再検討することもまた考古学

 考古学は、新たに遺跡から発掘されたものを研究することが主ですが、実は江戸時代のような過去に発見され、再び議論の対象となったものをもう一度現代の目で分析する、というのも大事な仕事です。多くの人が確かだと考えていても中には疑問を持つ人もいるため、それを受け止めて議論することが必要です。どの学問分野でも全員の意見が一致することはありえません。疑問を持つ人がいて初めて議論が成り立ち、そこから研究が進むのです。


この学問が向いているかも 考古学、歴史学

明治大学
文学部 史学地理学科 教授
石川 日出志 先生

先生の著書
メッセージ

 高校時代の勉強がきっちり身についていないと、どの分野でも専門家になるのは難しいです。そして大学での学びは、高校時代の勉強とは全く違い、一つの答えを探すのではなく、いろいろな答えや選択肢があることを理解することが大切です。答えをではなく、考え方を蓄積するのです。それが独創的な発想につながります。
 人生にはいろいろな転機がありますが、勉強の方法が変わる大学入学もそのうちの一つです。多少きつくても確実に明日の力になりますから、今やるべきことから逃げず、諦めずに頑張ってください。

先生の学問へのきっかけ

 実家が農業を営んでいたため、小さい頃から土に親しみ、土の上で生涯をすごしたいと思っていました。高校2年の秋、地歴部で遺跡の発掘に行き、実際に自分の手で弥生時代の住居跡を掘る体験をして、それまでとは違う考古学の世界を味わいました。出土した土器を専門書で調べると、なんとその本に同じ模様、同じ形の土器が掲載されていました。感激し、それから一気に大学、大学院と考古学の道に進みました。
 すでに発掘されたものを今までと違う見方で分析、検討することで、新しい意味を見つけ出すことができるのも考古学の面白さです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

都道府県・市町村文化財担当職員/国・県立博物館学芸員/民間発掘調査会社調査員/中学・高校教員

研究室
大学アイコン
石川 日出志 先生がいらっしゃる
明治大学に関心を持ったら

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