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講義No.09186

「見る」「聞く」「触る」のデザイン心理学

読みやすい文字の基準は何か?

 読みやすい文字とはどんな書体でしょうか。書体別にアンケート調査をしても、好みなどに左右され、正確な答えは出ません。実は「読みやすさ」とは人が意識できない感覚なのですが、心理学ではそのような無意識の領域で処理される感覚も扱います。読みやすさを正確に調べるには、対象の書体で長い文章を打ち出して読んでもらい、別の書体でも同様にして比べるというテストを繰り返すのが最も適しているとわかっています。読むスピード、そして間違いなく内容を読み取る正確度において「読みやすい書体」というのが明確に浮かび上がってくるのです。

デザインはダイバーシティにつながる

 デザインはその情報の印象をも変えてしまうほどインパクトの大きいものです。看板に使うにはどこからでも読みやすい書体を使うのがいいでしょう。また商品名や説明書きの書体が読みやすいと商品を買う時に選んでもらいやすくなります。暗い場所、印刷が薄くなった状態など、悪い条件でも読みやすい書体をデザインすることは、視覚に障がいのある人、劣悪な環境で文字情報に接する人などにも優しい、ダイバーシティ(多様性)のあるデザインを考えることになります。

「聞く」「触る」デザイン

 デザインは視覚に限りません。「聞く」もののデザインも可能です。例えば駅などで流される合成音のアナウンスは、聞きやすさを追求してデザインされます。実際に聞いてもらい、音のトーンやスピード、母音や子音を詰めた場合の伝わり方、騒音の中での伝わり方などをシミュレーションします。研究が進み合成音の音質も上がっています。
 また触覚は、視覚や聴覚に比べ、瞬時に情報を得ることが難しい感覚ですが、高齢化にともなって視覚・聴覚に障がいのある高齢者が増えている現在、開発が望まれる分野です。3Dプリンタなどの発達もあり、手で触って読みやすい書体のデザインも検討されています。ユニバーサルデザインは、高齢化する未来の社会を拓くものとなるでしょう。

「見る、聞く、触る」のデザイン心理学

夢ナビライブ2018 東京会場

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文字のデザイン

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触る文字の開発

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かわいい音のデザイン

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この学問が向いているかも デザイン心理学

東京女子大学
現代教養学部 心理・コミュニケーション学科 教授
小田 浩一 先生

メッセージ

 私は高校時代、文系でした。大学入学後、自分が好きな科目が必ずしも文系に限られないことに気づき、理系に近いと言われる心理学を勉強することにしました。高校生からは見えにくいかもしれませんが、今の世の中には文系理系でとらえられない問題がたくさんあります。
 あなたも正直に面白いと思える、自分が関心のある研究を探すと、きっと楽しい大学生活、研究生活、そしてその先の未来が見えてくるでしょう。私自身、今の研究は未来を作り、将来の自分たちの生活に関わってくると信じています。

先生の学問へのきっかけ

 高校では担任の勧めで国立文系クラスを選びましたが、面白いと思うのは生物や物理などの理系科目だったので、大学では理系に近い心理学を選びました。進学した大学は、心理学の中でも認知心理学、実験心理学に力を入れており、研究室の教授や先輩たちの影響で人の感覚や知覚に興味を持ちました。大学院を出た後、就職先で視覚に障がいのある児童・生徒への教育の研究を始めました。そして、見えにくいときの教材、見えない人への教育をどう改善するかという実践的な課題に出合いました。以降、デザインの課題を科学的に研究しています。

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小田 浩一 先生がいらっしゃる
東京女子大学に関心を持ったら

 東京女子大学現代教養学部は、全学的に国際性、女性の視点、実践的学びを重視した教育を展開しています。100周年を迎えた2018年に「国際英語学科」「心理・コミュニケーション学科」を新設。また、国際社会学科に新たに「コミュニティ構想専攻」を設置しました。キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育で自ら考え、知識や能力を行動へとつなげ、社会に出てからも学び続け、さまざまな問題を解決する力を身につけたリーディングウーマンを育成します。

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