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講義No.09167

保護主義が強まる世界の動きの中で、重要性が高まる国際経済法

第二次世界大戦の一因となった保護主義

 1930年代、アメリカ発の経済不況が波及し、日本を含む資本主義諸国は世界恐慌の時代を迎えました。危機を乗り越えるべく、各国は輸入を制限し自国産業を保護する保護主義を採用しました。輸入関税の引き上げやブロック経済化などにより、結果的に、世界経済は低迷していきます。保護主義は貿易戦争だけでなく、領土拡張競争を引き起こし、第二次世界大戦勃発の素地をつくりました。その反省から1948年に発効したのが、自由貿易を志向する、GATT(ガット)という関税や貿易に関する国際協定です。

自由貿易を推進しつつ、知的財産権を保護

 その後、GATTに代わり、1995年に発足したのがWTO(世界貿易機関)です。自由貿易の対象範囲を農産物やサービスに拡大するとともに、知的財産権を保護するなど、時代に合った国際ルールを作りました。さらに、貿易摩擦が政治問題化するのを防ぐ紛争解決手続きも強化され、現在、日本をはじめ160カ国以上が加盟しています。
 中国も、2001年にWTOに加盟し関税引き下げやサービス市場開放を受け入れました。これで市場経済化が進み、共産党独裁体制が緩むのではと期待されましたが、むしろ国家による経済のコントロールを強めています。

世界経済の発展に欠かせない国際経済法

 2018年に入り、アメリカのトランプ大統領が鉄鋼とアルミの輸入関税を引き上げるなど、大国が国際ルールから外れようとしています。米中の大国間の貿易摩擦は、世界恐慌の再来、さらには戦争にもつながりかねません。また、トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)からの脱退を示唆したことで、すでに、メキシコへの投資を控える動きが出ています。
 こうした保護主義的な動きが反面教師となって、世界経済の発展に国際経済法がいかに重要か気づかされます。国際経済法への理解は、貿易交渉を担当する官僚や国際機関の職員だけでなく、メーカーや商社、サービス業など、グローバル展開をしている企業で働く人にも欠かせない素養なのです。

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この学問が向いているかも 法学、国際経済法学

神戸大学
法学部 法律学科 教授
川島 富士雄 先生

先生の著書
メッセージ

 インターネットを介してモノやサービスなどの取引がグローバル化し、世界経済がボーダーレス化していく一方で、各国は自国産業を保護しようと、関税を引き上げ、補助金を出し、市場競争を歪め、これが貿易摩擦の原因となります。中でも、今まさに大きな問題となっている、アメリカや中国という大国が起こす貿易摩擦について、私は長く研究してきました。
 神戸大学には中国から来た留学生が多いので、中国人の立場での意見も交えながら国際経済法について学んでいます。ぜひ、あなたも、国際経済法の意義や役割について一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の頃、外交官に憧れて海外ニュースをよく観ていました。外交官になるために必要な知識を得られると思い、大学は法学部に進学します。そして日米貿易摩擦が問題になる中、国際経済法に興味を持ち、グローバル経済における国際経済法の役割について研究を続けてきました。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した後は、特に中国とアメリカの間の貿易摩擦を研究しています。中国が巨大な経済力を持つようになり、アメリカがトランプ政権になって、貿易摩擦が覇権争いの様相を呈してきた今、とてもタイムリーなテーマといえるでしょう。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁経済政策/弁護士/大学教員/商社営業/コンサルタント/自動車部品メーカー営業/電力会社法務/携帯会社法務/テレビ局記者

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川島 富士雄 先生がいらっしゃる
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 神戸大学は、国際都市神戸のもつ開放的な環境の中にあって、人間性・創造性・国際性・専門性を高める教育を行っています。
 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

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