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講義No.09126

言葉が海を渡るとき~アフリカにおける「英語文学」の過去と現在~

海を渡った英語

 英語圏は、世界中に広がっています。それは、イギリスが17世紀以降、植民地を求めて世界に進出したことと関係があります。イギリスの植民地では、英語による統治が行われ、英語と英国文学・文化が伝えられるとともに、支配された人々は、半ば強制的に英語を使わざるを得なかったからです。こうして、海を渡った英語は、植民地支配の中でそれぞれの国に根づいていきます。

アフリカの「英語文学」

 アフリカにおけるイギリス植民地でも同様です。南アフリカは、古くからのイギリス系入植者が多く、彼らが書いた英語文学は、20世紀以前から存在し、本国でも出版され、読み継がれます。アフリカ人の作品も早くから存在していました。ほかのアフリカ諸国では、植民地支配が終わる1960年代以降に数多くのアフリカ人作家が活躍するようになります。
 なぜアフリカの人々は、独立後も自分の民族の言葉ではなく、英語で文学を書いたのでしょうか。植民地支配の過程で、英語が事実上の「公用語」となり、生活の中に浸透していたことが背景にあります。また、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)の下では、差別政策として黒人への現地語教育が奨励され、それに抵抗して英語を使用する動きもありました。さらに、「英語文学」には、翻訳なしで世界に発信できるメリットがあります。支配や差別の苦しみ、白人が歪曲した民族の真の歴史、独立後の独裁政治の現実などを国際社会に訴えるためには、英語で書くことに意味があったのです。もちろん、この傾向を「英語で書くことこそが、植民地化された精神の現れ」と批判し、民族語で書く作家も育っています。アフリカの英語文学を学ぶことはこの矛盾を考えることでもあります。

イギリスの側にも変化が

 イギリスにも変化が生まれています。かつての植民地からの移民を受け入れ、多民族国家となったイギリスでは、アジア・アフリカ系の作家が活躍するようになりました。海を渡った英語は、世界中で「英語文学」を作り出すとともに、本国イギリスをも変えつつあるのです。

参考資料
1:English Speaking World
2:Epilogue

海を越えて響きあう世界の英語と文学

夢ナビライブ2018 東京会場

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「海を渡る」とは?

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Grace Nicholsを形作ったもの

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多文化社会がもたらす古典作品の変化

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この学問が向いているかも 英文学

東京女子大学
現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻 教授
溝口 昭子 先生

先生の著書
メッセージ

 私は「英語文学」、特にアフリカで書かれた英語文学を中心に研究しています。英語というと、イギリスとアメリカの言葉というイメージを持つ人が多いと思いますが、実はアジア・アフリカ・カリブ海地域などをはじめ、地球上の多くのエリアが英語圏として存在しています。それぞれの地域では、英語による多様な文化が生まれ、文学作品が著され、発信されています。そうした英語文学の豊かさを、あなたも大学で学びませんか。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時に留学したオーストラリアでの農作業経験から、アジアやアフリカで農業を支援する仕事がしたいと考えました。そのためには英語が必要と考え、また文学も好きだったので、大学は英米文学科に進みました。そこで、英語で書かれた文学が英国と米国だけでなく、世界中に存在していることに気がついたのです。
 アジア・アフリカにおける英語文学のテーマとして、アフリカ・ジンバブエ育ちの作家で、のちにノーベル文学賞を受賞したドリス・レッシングに出会い、白人が書いた植民地文学の1つとしてレッシングの研究に取り組みました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学院進学/コンサルタント会社

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溝口 昭子 先生がいらっしゃる
東京女子大学に関心を持ったら

 東京女子大学現代教養学部は、全学的に国際性、女性の視点、実践的学びを重視した教育を展開しています。100周年を迎えた2018年に「国際英語学科」「心理・コミュニケーション学科」を新設。また、国際社会学科に新たに「コミュニティ構想専攻」を設置しました。キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育で自ら考え、知識や能力を行動へとつなげ、社会に出てからも学び続け、さまざまな問題を解決する力を身につけたリーディングウーマンを育成します。

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