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講義No.08978

川にすむ生き物の視点から、川づくりを考える

いま、川で何が起こっているのか

 身の回りにある川は、水資源や遊び場の提供など、私たちの生活に密接に関わっています。その一方で、人々は昔から洪水などの災害にも悩まされてきました。高度成長期には洪水を防止し、人々が生活する土地を確保するため、曲がりくねった川をコンクリートなどでまっすぐに整備する工事や、ダム造りなどが盛んに行われてきました。その結果、川の流れが単純になり、ある程度の氾濫は防げるようになりましたが、人が流す排水によって水質が劣化するなどして、もともと川にすんでいた生き物が減ってきたり、多様性が低くなったりする現象も起こっています。

人間の活動や気候変動が川にもたらす影響とは

 整備され、まっすぐになった川は洪水を防ぐのには効果的ですが、流量が急激に増えた時に生き物が逃げる場所がありません。また、雨の降らない日が続いて川の浅い部分が干上がってしまった時にも避難場所がありません。例えば、愛媛県中部を流れる重信川(しげのぶがわ)で2017年9月、大型台風の影響によって川の流量が増え、戦後最高水位を記録しました。台風が来る直前とその2カ月後、水位が下がってきた時期に行われたカゲロウ、ヤゴ、エビなど底生動物の生息調査では、個体数が8割以上も減っていました。一方、カゲロウなどと比べて移動する能力が高い魚は、池のようになっている止水域「ワンド」に逃げ込んでいて、そこまでは個体数が減っていませんでした。

生態系を守るための川づくりとは

 川にすむ生き物たちの生態系を守ったり、川からいなくなった生き物を呼び戻したりするためには、どのような川づくりをすればよいでしょうか。その1つの方法が、洪水が起こった時に生き物が避難できる場所をつくることです。川の中に魚の逃げ場所となっていたワンドのような、流れが緩やかな場所をつくるのです。
 人間の活動によって変わってしまった川を、どのようにして管理していくかは、今後、ますます重要となるでしょう。


生き物の視点から川づくりを考える

この学問が向いているかも 河川生態学、応用生態工学

愛媛大学
工学部 環境建設工学科 准教授
三宅 洋 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は工学部で、川にすむ生き物の研究に取り組んでいます。人間のさまざまな活動によって形や流れの速さ、流量などが変わってしまった川を、そこで暮らす生き物の視点から管理していく方法を考えるためです。
 学生たちと川に入ってカゲロウやヤゴ、エビ、魚といった生き物の個体数の変化を調べて集めたデータから、人間の活動が川の生態系に与える影響を分析しています。それを元にこれからの川づくりについて考え、提案するのです。興味があれば、ぜひ研究室のホームページを見てください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から、川で釣りをするのが好きでした。ある時、いつも生き物をとって遊んでいた川が、洪水を防ぐために、コンクリートで整備されたことをきっかけに、川を巡る環境について考え始めました。大雨などで川があふれた時は、「危ない」と思っていましたが、安全に整備されてしまうと川で遊ぶことができなくなる。子どもながらにジレンマを感じていました。大学に進み、川の生き物の生態を学び始めましたが、少しずつ河川の生態系を守るための研究へとシフトしていきました。安全で親しみやすい河川を実現することをめざしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁土木/建設業設計施工/コンサルタント設計

大学アイコン
三宅 洋 先生がいらっしゃる
愛媛大学に関心を持ったら

 愛媛大学は、「学生中心の大学」の実現をめざして、学生の視点に立った改革を進めています。そして、すべての学生が入学から卒業までの過程で、自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得することをめざしています。そのため本学では、正課教育のほか、正課外のサークル活動(正課外活動)やボランティア活動、留学、下級生への学習支援(準正課教育)等を通じ、その能力を磨くための多くの機会を設けています。あなたの可能性が広がる学び舎、それが愛媛大学です。

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