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講義No.08967

身体で感じ、身体で伝える~教育や伝統文化に息づく身体知とは~

心と身体は切り離せない

 学問の世界においても、知性や知能は心や精神と結びつくものとされ、身体とは切り離して考えられることが一般的でした。しかし、心や精神に作用するものとして感覚や感情があり、それを受けとるのは身体です。また、話すことや書くことは、知性と深くかかわっていますが、その動作は身体を通して行われています。近年は、これまで見落とされてきた「身体に宿る知(身体知)」が見直され、西洋的な精神や知性の領域に収まらない分野としてさまざまな研究がなされています。

心をつかむ=身体をつかむ

 私たちのコミュニケーションの場面では、言葉や活字といった知性的な情報だけでなく、身振りや表情など、身体的なやりとりが多数なされています。例えば教育・保育の世界では、子どもの「心をつかむ」ことが大切ですが、その心とは身体のことです。優秀な教師・保育士は、子どもの正面から、互いのお腹を向け合って話すことで、子どもの共感を得ることができます。また、他者と波長が合うかどうかにも、話し方や伝え方のスタイルが大きく関係しています。こうしたスタイルは誰もが持っており、経験とともに確立していくものですが、状況や相手によって柔軟に変えていくことが経験年数に応じた技となっていきます。

身体知を取り入れた日本の伝統文化

 身体の知に触れるには、日本の伝統文化を体験することも有効です。例えば茶道では、儀式や作法を通して身体的な感覚を高めるための工夫が取り入れられています。わずかに日光の差すほの暗い静かな茶室の中で、立ち上ってくる茶の香りを感じるうちに徐々に感覚が研ぎ澄まされ、主客(主人と招かれた客)が同化する感覚が生まれます。また、能ではゆったりした動きや、徐々に変化する音の使い方など、見る者を集中させ感覚を鋭敏にする仕掛けが施されています。こうした伝統文化における身体感覚と、近代に取り入れられた西洋スポーツを比較してみることで、身体知を身近に感じることができるのです。


教育・文化を支える「身体の知」

この学問が向いているかも 教育学

福山市立大学
教育学部 児童教育学科 准教授
弘田 陽介 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学受験に向けた勉強をするだけでなく、自分が好きなことをとことんまで突き詰めて考えるという経験も大切にしてください。例えば野球が好きなら、なぜ好きなのか、どんなところに魅力を感じているのかを、なるべく多角的に考えてみてください。
 プレーの面だけでなく、野球が人々の心をとらえる理由やマネジメントの方法、効果的な練習、球団経営のノウハウなど、野球には多くの要素があることに気づき、そこから将来につながる選択肢を見出すこともできるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 小さな頃は強くなるため、格闘技やプロレスごっこに励んでいました。その流れで「気」や「超人」に憧れを抱き、日本の古典武術に興味を持ち、古典的な身体についての考え方や技法に触れ、衝撃を受けました。強くなることや健康以外にも、身体への関わり方があるということを知り、身体そのものが人生の場であるということを実感したのです。現在は、教育や文化のフィールドでの身体知をさまざまに研究しており、それぞれの分野で技芸として成立している人間の身体作法やその教育について、実際の経験を通したアプローチを試みています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教員/保育士/医師/スポーツトレーナー/企業人事担当者/官公庁地域づくり/接客業

大学アイコン
弘田 陽介 先生がいらっしゃる
福山市立大学に関心を持ったら

 福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。

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