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講義No.08927

セラミックスが生んだ新しい電池が、エネルギー問題を解決し環境を守る

電力を貯蔵する技術

 国連の推計では世界人口は2017年現在76億人、2100年には112億人に達します。エネルギー問題は緊急の課題です。エネルギーの中心は電気です。石油・石炭や原子力も、最後は電気になることで生活に役立ちます。電気は、基本的に貯蔵できません。貯蔵できれば、さまざまな無駄が省けます。このため世界中で研究が行われています。
 需要の少ない夜間に発電した電力を貯蔵しておき、昼間の電力ピーク時に使用できれば、発電所数を大きく減らせます。これには揚水発電や超伝導などさまざまな方法がありますが、もっとも期待されているのは蓄電池(二次電池)です。

大規模な二次電池「NAS電池」

 この電力貯蔵用の電池として有力視されているのがNAS電池です。これは300℃で作動する大型の電池です。電極には金属ナトリウムと硫黄が使われており300℃では両方とも液体です。ですからこの電池の電解質は電極の液体と混ざらないように固体でないといけません。液体ナトリウムと液体硫黄の電極をしっかり分離し、電子は通さずナトリウムイオンだけを通す丈夫な固体の電解質が必要です。その条件を満たす材料はイオン伝導性セラミックスです。イオンが通りやすい結晶構造を持ち、高温にも耐える、このセラミックスの開発が、NAS電池の性能のキーとなっています。

地球環境に貢献するセラミックス

 NAS電池の用途はほかにもあります。近年太陽光や風力のような自然エネルギー発電が多くなってきました。しかしこれらは天候などに左右されやすく、秒単位で電流電圧が変化するため、安定な電力として利用できません。そこで、太陽光や風力で発電した電力をまずNAS電池に蓄電しておき、それから一定電圧で取り出す方法が開発されました。安定化用NAS電池を設置した風力発電所が続々と建設されています。イオン伝導性セラミックスの研究がNAS電池を生み出しました。エネルギー問題の解決と地球環境を守るために、セラミックスはますます期待されています。

参考資料
1:1日の電力曲線
2:NAS(ナトリウム硫黄)電池

セラミックスで、エネルギー問題に挑む!

この学問が向いているかも 無機材料化学、セラミックス化学

高知大学
理工学部 数学物理学科 准教授
島内 理恵 先生

先生の著書
メッセージ

 「地球環境を守る」というと、環境保護活動を行うといったイメージですが、私の専門の無機材料化学では、環境問題を科学の力で具体的に解決できます。理工学部では、ある現象がなぜ起きるのかをしっかり考え理論を見出し(理)、そして地球環境に役立てる技術を開発(工)します。
 私の専門であるイオン伝導性セラミックスといった物質も、そうやって生まれました。新しい科学や技術、物質を生み出す、高知大学理工学部数学物理学科で、あなたも一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 無機材料化学を研究している教授から「ダイヤモンドやエメラルドの人工合成を研究している」と聞き、そこの研究室に入りました。ところが期待していた人造宝石の研究は10年以上前の話で、その時には半導体や電池材料など、最先端のエレクトロニクス材料セラミックスの合成を研究していました。
 残念に思いながらも、電池の材料になる硫化チタンのプラズマCVD合成を研究し始めたところ、これが非常に面白くて、苦労して自分の手で測定し解析したデータは、どんな宝石よりも、結晶構造やグラフの方が、ずっときれいだと思ったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電池開発メーカー研究員/セラミックス系企業研究員/無機化学系企業研究員

大学アイコン
島内 理恵 先生がいらっしゃる
高知大学に関心を持ったら

 高知大学は、四国山地から南海トラフに至るまでの地球環境を眼下に収め「地域から世界へ、世界から地域へ」を標語に、現場主義の精神に立脚し、地域との協働を基盤とした、人と環境が調和のとれた安全・安心で持続可能な社会の構築を志向する総合大学として教育研究活動を展開しています。
 教養教育、専門教育、正課外教育やインターンシップを通じ「表現力」「プレゼンテーション能力」「コミュニケーション能力」「異文化理解能力」「情報活用能力」の5つの能力で社会の力になる21世紀の知識創造社会で活躍できる人材を輩出します。

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