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講義No.08903

目に見えないナノ世界の特殊な性質を解き明かそう

微少な空間の秘密を探ろう

 最近、さまざまな分野で「ナノ」が注目されています。1ナノメートルは1mmの100万分の1で、このサイズの構造体は決して人間の目でとらえることはできません。物質には固体・液体・気体と3つの状態がありますが、中でも固体のナノ空間は直接観察するのが困難です。しかし、この「固体ナノ空間」にこそ、私たちの生活を変える可能性が隠されているのです。
 例えば、浄水器に使われる「活性炭」や、ディーゼルエンジンの排ガスの有害物質を分解する触媒として使われる「ゼオライト」には、ナノレベルのたくさんの小さな孔(あな)があり、匂いなどの成分をそこに引き寄せるという性質を利用しています。この現象を「吸着」と呼びます。これらの吸着材は、原発事故にともなう放射性物質の除去や、宇宙ステーション内の二酸化炭素の除去など、用途をさらに広げています。

ナノ空間だから可能となる化学反応も

 化学合成でも、これまでは一定の条件がなければ不可能だったことが、「ナノスペース」という条件下であれば反応が一気に進む場合があることがわかっています。
 例えば、船底に塗る亜酸化銅を合成するには、酢酸銅を高温・高圧の状態にしたり、紫外線や還元剤を使ったりする必要がありました。しかし溶液にナノチューブを入れることで、分子が極小空間に入って不安定な状態となり、元に戻ろうか反応しようかというせめぎあいとなります。すると紫外線でなくても、蛍光灯などの可視光で容易に反応し、還元剤がなくても亜酸化銅になることがわかりました。

常識にとらわれないことが新発見につながる

 ほかにも、イオン溶液でマイナスイオンだけが吸着したり、絶縁体であるはずの硫黄が電気を通したりと、「ナノスペース」の世界ではビーカー、フラスコ、試験管では絶対に起こらない反応が起きます。ですから、固定観念にとらわれず、見えない世界を実験と計算の両方で解明していくことで、これからまだまだ人類が知らない反応や物性が発見される可能性が大いにあるのです。


ナノ空間を使って分子の個性を引き出す

この学問が向いているかも ナノ化学、材料化学、表面界面化学

岡山大学
理学部 化学科 准教授
大久保 貴広 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 理系の学問を学ぶなら、国語や社会の勉強は必要ないかというと、そんなことはありません。本格的に研究しようとすると、海外留学や国際会議への出席も必要になります。似た研究をしている海外の研究者と協力することも多くなり、長い付き合いになったり親密な関係になったりすることも珍しくありません。
 海外では日本の歴史や文化などに興味のある人が多く、質問されることもしばしばです。そんなとき、国際人として答えられるようになっておきたいものです。

先生の学問へのきっかけ

 子供の頃、活字が嫌いで、両親から「漫画でもいいから文字を読んでくれ」と言われるほどでした。しかし、あるとき、買ってもらった科学の百科辞典はとても面白く、そこから宇宙や植物といった分野の本も読むようになりました。
 そして中学2年のとき、授業でエーテルを入れたビニール袋にお湯をかけると一瞬にして風船のように膨らむ、という実験をしました。このとき袋の中で何が起きたのかをみんなで議論したのですが、その楽しさが研究の原点となりました。ですから今でも、学生の皆さんとああだこうだと議論することが大好きです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

無機材料メーカー研究員/国立研究開発法人研究員

大学アイコン
大久保 貴広 先生がいらっしゃる
岡山大学に関心を持ったら

 岡山大学は、これまでの高度な研究活動の成果を基礎として、学生が主体的に“知の創成”に参画し得る能力を涵養するとともに、学生同士や教職員との密接な対話や議論を通じて、個々人が豊かな人間性を醸成できるように支援し、国内外の幅広い分野において中核的に活躍し得る高い総合的能力と人格を備えた人材の育成を目的とした教育を行います。

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