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講義No.08859

臨床薬学で「アンチエイジング」

臨床薬学とは?

 かつての日本では、薬学といえば「薬の研究・開発」が主でした。薬剤師として病院や薬局で患者さんの前に立つ機会が多いにもかかわらず、患者さんと接する意識が希薄だったため、研究重視になっていたのでしょう。しかし1980年頃、アメリカから「薬学は患者さんのためにあるもの」という考えが入ってきます。
 この考え方を反映しているのが「臨床薬学」です。臨床薬学では、薬剤師は大きな病院に勤務し、カルテを見たり医師や看護師とコミュニケーションをとったりしながら医療現場に密着し、患者さんと接します。そこで生まれる疑問や問題を解決することが、臨床薬学の研究と位置付けられるようになりました。

老化のメカニズムを解明

 臨床では患者さんに薬を投与しても予想と異なる作用が出ることがあります。創薬の研究は、製品化という明確な答えを出すのに比べ、臨床薬学は「1+1=?」の世界です。その「?」を臨床研究で解明し、医療に役立ててきました。
 例えば「老化現象」は、最近の研究で、体内で起こるブドウ糖とアミノ酸が反応するメイラード反応が老化を進行させることがわかってきました。
 「糖化(とうか)」とも言いますが、この糖化が原因で起こる病気の一つが糖尿病です。糖尿病の患者さんは、健康な人よりも見た目の年齢が高いというデータがあります。糖化が人の皮膚で起こるとしわが増え、骨で起こると骨折しやすくなり、血管内だと動脈硬化、また認知症をも引き起こすと言われます。原因である糖化を起こしにくくする方法を薬学的に明らかにすれば、予防医療につながります。

日常生活に直結する薬学

 いま薬学の分野では、農学や医学などさまざまな分野と協力し、効果的なアンチエイジングや健康食品の研究が行われています。薬学を学べば、薬や食品が人にどんな影響を及ぼすか、病気と薬の化学反応やメカニズムがどうなっているか、それらを推測することができます。より良い世の中に近づくため、医療や人の生活に役立つのが臨床薬学なのです。


この学問が向いているかも 臨床薬学

同志社女子大学
薬学部 医療薬学科 教授
杉浦 伸一 先生

メッセージ

 薬剤師は、病院や薬局で直接患者さんと向き合い、時に感謝されたり、たくさんの経験を重ねて人として成長できるやりがいのある職業です。また年齢や生活環境が変化しても、いろいろな職場で長く活躍し続けられるのも魅力でしょう。
 薬剤師が携わる仕事の範囲は広がりつつあります。例えば「チーム医療」の現場です。医師や看護師などとチームを組み、在宅医療を行っている家を薬剤師が訪問し、投薬管理を行うという仕組みも確立しつつあります。さまざまな医療現場で、さまざまな活躍が期待されているのが、これからの薬剤師なのです。

先生の学問へのきっかけ

 情報工学を学びたくて東京の大学に合格しましたが、父から「悪いが東京には出せない。今から地元の大学を受け直してほしい」と言われて諦め、地元愛知県にある名城大学薬学部に進学しました。そのまま名城大学の薬学専攻科に進んだのですが、そこで転機が訪れました。目の前で悩み苦しむ患者さんの問題を何とか解決しようと、調べて知識を吸収していくうち、勉強の面白さに目覚めたのです。医療の現場で実際に働いたのち、名古屋大学大学院医学系研究科に進みました。薬剤師として患者さんと向き合いながら、薬学の研究を重ねています。

大学アイコン
杉浦 伸一 先生がいらっしゃる
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 『Always rising to a new challenge(いつの時代も、新しきを生きる。)』
 同志社女子大学は創立以来、常に時代の先駆けとなる新しい教育・研究に挑戦し、143年の歴史を歩んできました。キリスト教主義、国際主義、リベラルアーツを教育理念とし、学生一人一人が持っている才能を生かして、責任感を持って社会に貢献できる女性を育むことをめざしています。専門分野の研究のみならず異なる領域について学ぶことで、幅広い視野と豊かな発想、総合的な判断力を養うことを教育の基本に据えています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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