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講義No.08848

地域の再生・発展をめざすときに必要な「批判的地域主義」

地域に根差していればいいのか?

 建築を設計するとき、「地域に根差す」という考え方はとても重要ですが、注意も必要です。全国各地で元気のなくなったまちを再生しようという動きがあります。その際に「地域に根差す」ためにと、その地域によくある建物を安易にコピーしたり、伝統的な建物の外見だけをまねたり、時代やその地域の生活に合わなくなっているのに伝統に固執したりする場合があります。こうした設計態度ではなく、必要なのは地域に根差しつつも、本当に必要なものは何かをクリティカルに考える「批判的地域主義」です。地域の将来をクリティカルにとらえる眼差しが不可欠なのです。

月影プロジェクト

 新潟県の旧浦川原村(現在の上越市浦川原区)にあった月影小学校は、1874年に開校し、多い時には300人以上の子どもたちが学んでいました。しかし、過疎化の影響で、2001年に廃校になりました。地域の中心的存在だった小学校を地域の人々も納得する方法で再生・活用できないかと、「月影プロジェクト」がスタートしました。2005年に完成した宿泊体験交流施設「月影の郷(さと)」には、年間5000人の宿泊客が訪れます。

本質を徹底的に追求

 月影プロジェクトには、東京圏の4つの大学の建築学科の研究室が地域住民と共同で参画しました。学生たちは年月をかけ、代替わりもしながら、現地の人々の意見の聞き取りを重ね、小学校をどのような形に生まれ変わらせるか、徹底的に議論しました。施設のコンセプトが決まった後も、施設内の食堂、客室、浴場などのパートごとに多くのアイデアを競わせ、時には組み合わせて、設計をブラッシュアップしていきました。地域住民と共に、まさに「批判的地域主義」を実践したわけです。
 廃校などをリノベーションして、ほかの施設として活用しようという事例はいくつもあります。しかし、期待した成果が出ないケースも少なくありません。少子高齢化や過疎化の進む国・日本において地方の活性化を図ろうというとき、「批判的地域主義」は重要なカギとなる概念なのです。


この学問が向いているかも 建築学

法政大学
デザイン工学部 建築学科 教授
渡邉 眞理 先生

先生の著書
メッセージ

 建築を学ぼうとしている若い人の中には、「自分にはデザインのセンスがない」と思い込んでいる人が大勢います。きれいな形のものを作り出せる感性の持ち主は世の中に確かにいますが、感性だけに頼っていると、必ず行き詰まります。デザインとは考えることであり、そこに何らかのアイデアを入れようとするとき最も大切なのは考える力です。
 大学の勉強だけでなく、本を読んだり、旅をしたり、人生の中でさまざまな経験を積んでいくことが、あなたの考える力を養うことにつながっていきます。

先生の学問へのきっかけ

 大学院で建築を学んでいた時、奨学生として1年間、イタリアで学ぶ機会がありました。その後、アメリカの大学院でも建築設計について勉強することになったのですが、いずれも当時の日本の大学とは教え方が全然違っていました。設計の実務経験が豊富な先生が少人数の学生を対象にみっちり教えるというスタイルで、自分にとても合っていると感じました。それまで感じていたジレンマのようなものもなくなり、これなら自分も仕事として建築設計に携わっていけると自信が持てるようになったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

建築設計事務所(小規模はアトリエ事務所から大規模な組織事務所まで)

大学アイコン
渡邉 眞理 先生がいらっしゃる
法政大学に関心を持ったら

 法政大学は、都内に3つのキャンパスを展開し、人文科学・社会科学・自然科学の領域で15学部38学科、15研究科・3インスティテュートを擁する総合大学です。「自由と進歩」「進取の気象」という建学の理念に基づき、130 年を超える歴史と伝統を持ちながらも、絶えず時代のニーズに応える挑戦を続けています。学生一人一人が将来を見据えてキャリアをデザインしていける自立型人 間になるよう、法政大学は人材の多様性や個性を大切にし、高度なレベルの教育・環境・設備を用意しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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