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講義No.08824

海で魚を「放牧」する水中ロボットとは?

海の資源を正しく管理するために

 人類の未来にとって、海は非常に重要な存在です。地球の表面積の約7割を占めている海には、私たちが日頃食べている魚介類などの水産資源が豊富に存在しています。ただ、そうした水産資源がこれからもずっと安定的に得られるとは限りません。乱獲や環境汚染など、私たちの不用意な行為によって、貴重な資源がたやすく失われてしまう危険性があります。
 そうした中で現在注目されているのが、水中ロボットを水産資源の管理に生かす、というアイデアです。放牧中の羊の群れを見守る牧羊犬のように、海の中で魚を「放牧」しながら見守る水中ロボットの研究が進められています。

魚を餌付けしながら見守る水中ロボット

 水中ロボットには、比較的長距離を安定して航行するために魚雷のような形をしたタイプと、プロペラをたくさん搭載することでより細やかな動きができる「ホバリング型」と呼ばれるタイプがあります。現在、魚の「放牧」への活用が考えられているのはホバリング型の水中ロボットで、魚たちと共に移動しながらその様子を観察したり、必要に応じて魚たちに餌付けをして誘導したりするための機能の搭載が検討されています。例えば、水中ロボットに搭載した自動給餌(きゅうじ)システムで餌を与える際、どのように魚に刺激を与えればロボットの周囲に居ついてくれるようになるのか、光、音などを用いた研究が続けられています。

水産資源確保の一端を支える存在に

 魚の「放牧」に用いる水中ロボットの技術的な課題としては、水中での長期間の活動に不可欠なバッテリーの開発や、海中と地上との音を使った通信ネットワークの精度と速度の改善などが挙げられます。そして何より、ロボット自身が状況を判断して行動に移すための自律機能のさらなる向上が必要です。これらの課題が解決されれば、水中ロボットは水産資源の安定的な確保の一端を担う、大切な存在になることでしょう。


この学問が向いているかも 海洋工学、ロボット工学

東京海洋大学
海洋工学部 海事システム工学科 教授
近藤 逸人 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は、海の中に入っていく水中ロボットの研究を行っています。海には、私たちが日頃食料にしている魚などの水産資源がたくさんありますが、これからもずっと、将来にわたってそうした水産資源があり続けるのかというと、そうとは限りません。私たち人間が、それらをしっかり管理していくことが大事になってきます。
 今までわからなかった水の中の世界を正しく理解し、将来にわたって水産資源を正しく利用していく際に、私たちが研究している水中ロボットの技術は世の中に貢献していけると思っています。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃からものづくりが大好きで、いろいろなガラクタを集めてきては工夫して何かを作ろうとしていました。大学院の修士課程までは、ヒト型ロボットの研究に打ち込み、フルートを演奏するロボットを作っていました。
 「もっと世の中に直接的に貢献できるようなテーマで研究をしてみたい」という思いが芽生え、注目したのが水中ロボットです。海の中で活動するロボットの開発は、まだまだ未開拓のとても大きなフィールドでした。自律型ロボットが活躍できるようになれば、将来の社会を支える上で欠かせない存在になると考えています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

造船会社研究開発/海洋機器オペレータ/ソフトウェアシステムエンジニア/マリンコンストラクション監督/船舶運航管理航海士/海洋機器営業/防災訓練所教官

大学アイコン
近藤 逸人 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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