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長岡技術科学大学の教員による講義

関心ワード
  • スマートフォン、
  • ディスプレイ、
  • プラスチック、
  • 分子、
  • ガラス、
  • 非接触型ICカード、
  • 生体親和性、
  • 液晶

割れないスマホはどうやったら作れる?

なぜディスプレイはガラスなのか?

 スマートフォンのディスプレイをプラスチックで作れないのには理由があります。電子機器の半導体や導線は、ガラスやシリコン基板の上に蒸発・気化させて付けられています。「蒸着」という方法ですが、付ける際に熱をかけるため、プラスチックだと溶けてしまうのです。
 蒸着以外の方法として「印刷」があります。例えばSuicaなどの非接触型ICカードはこの方法で作られています。印刷は熱を必要としないためプラスチックが使えるのですが、いわゆるインクジェット式の印刷では解像度が限られており、スマホやテレビのような高画質のディスプレイは作れません。

分子を規則的に並べれば画質もよくなる!

 高精細なディスプレイを作るには、部品となる分子を規則正しく並べることです。例えば、ノズルコーターという方法があります。紙での印刷に例えると、ノズルからインクを少し出したまま紙を引っ張ることで分子は進行方向に並びます。木材を運ぶとき、川に落とすと流れに沿って木材が縦になるのと同じ原理です。特に液晶分子は棒状をしているため、この方法は理にかなっています。また、水あめのように粘度を上げることでも分子は並びやすくなります。こうしたやり方で既にエアコンに使うリモコンの表示画面程度の大きさのディスプレイならプラスチックで作れるようになりました。

「曲がる」ことで広がる可能性

 プラスチックの利点は落としても割れないことと、曲げられることです。そして金属より生体親和性が高く、ウェアラブルな展開に適しています。既にe-skinという身体の動きを認識するセンサーを埋め込んだシャツも作られています。また有機物はレアメタルと違い化学合成で作れるため、環境への負荷も抑えられます。欠点としては、プラスチックは酸素と水分を通すため劣化しやすいことがあります。しかし、この欠点を補う素材も少しずつできており、ガラスとプラスチックの違いはいずれなくなっていくでしょう。

この学問が向いているかも 応用物理学、電子工学


工学部/工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授
木村 宗弘 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 「液晶」というとディスプレイをイメージするかもしれませんが、もっと身近にも存在しています。例えばシャボン玉も結晶と液体の両方の特徴を持つ液晶の一種で、球の中心から外側に向かい分子が並んでいるのです。
 何事も自然の摂理に従っており、最新技術のヒントも自然の中にあります。湿った場所にいても汚れないカタツムリの殻からヒントを得て汚れない壁が作られ、蚊の針先を模して痛みのない注射針が作られています。あなたも、まだ人間が生かしていない自然のメカニズムを見つけて、新しいものを生み出してみませんか。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃からパソコンに興味があり、通っていた電気屋さんで「デモ展示用のパソコンを触ってもいい」と言われ、マニュアル本を手にゲームのプログラムを作っていました。将来の夢はコンピュータのエンジニアになることでした。
 大学進学後、液晶ディスプレイの研究をしている方に出会い「21世紀は子どもでも当たり前のように電子機器を使う時代が来る。そのとき僕みたいに目が悪い人を作りたくないから、きれいなディスプレイを作りたい」という言葉に感銘を受け、コンピュータのエンジニアではなくディスプレイの研究者になりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電機会社研究開発員/精密機械会社設計開発員/高専・大学教員

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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