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長岡技術科学大学の教員による講義

関心ワード
  • 骨、
  • 歯、
  • アパタイト、
  • 医用材料、
  • 生体親和性、
  • インプラント、
  • 人工骨、
  • 細胞標識

人体の仕組みを解き明かし、新たな医用材料を作ろう!

なぜ骨や歯は硬いのか?

 人間の体内ではカルシウムやリン酸、カリウム、ナトリウムといったイオンが有機成分とともに自然と集積し、骨や歯といった硬い組織を作っています。それらをナノスケールのサイズで観察すると、結晶や有機分子が規則的に並んでいることがわかります。骨や歯が非常に硬いのはそのためです。一方、石鹸に代表される界面活性剤の分子も、放っておくだけで規則的に並ぶ性質を持っています。こうした現象をうまく活用することで人体にある材料を模倣して進化させ、今より高機能な医用材料が作れないかという試みが行われています。

人工物を人体に優しく密着させるには

 人工骨の素材としてよく使われているのが水酸アパタイトです。水酸アパタイトは生体親和性が高い(生体に馴染みやすい)ことから、医用材料はもとより歯磨き粉などの日用品にも使われています。さらに近年、コーティング剤としての用途が注目されています。チタンは生体親和性を有する材料ですが、人体の組織との結合が弱いため、インプラント(人工歯根)が外れてしまうことがあります。そこで水酸アパタイトを薄く間に挟むことで、インプラントをより組織に密着させようというのです。同様の方法で体内に入れる微小な機器類、例えばマイクロチップのコーティングに使うこともできます。ほかにも高い生体親和性を生かして、がん細胞の標識に使うことも考えられています。

金歯が安全な理由はわかっていない

 水酸アパタイトやチタンなどと比べて生体親和性が低い物質も存在します。例えば金です。そのほかプラスチックに使われているポリスチレンを体内に入れると拒絶反応が起こるため生体親和性はありません。これらの材料の間にはどんな違いがあるのか、詳細はよくわかっておらず、古くから使われてきた結果から経験的に判断されているだけです。人工的に人体の仕組みを模倣する一方で、体内に物質を入れたとき界面でどんなことが起こっているのか、そのメカニズムを科学的に解き明かす必要があるのです。

参考資料
1:人工歯根
2:ナノ結晶とタンパク質が織り成す界面
この学問が向いているかも バイオマテリアル学


工学部/工学研究科 物質材料工学専攻 准教授
多賀谷 基博 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 日本人の平均寿命は80歳を超え久しいですが、健康寿命は70代前半です。つまり、多くの人が、病気を抱えながら10年程度も生きることになります。これは医療費だけでなく生活の質(QOL)の観点からも大きな問題で、そこに医療とは異なる角度から切り込んでいける材料工学が必要な状況になりつつあり、特にバイオマテリアル学はやりがいのある研究分野です。
 材料工学だけではなく、何を学ぶにしても複合領域の知識が求められます。幅広い知識を吸収し、経験を重ねるために、自分の視野を広げ、柔軟な考え方を身につけてください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、海に落ちていた貝殻を見て、模様の美しさと硬さに魅せられ、それと同時にどうして生物が自発的にこのような形をつくれるのか、子どもながらに疑問を抱いていました。高校の授業でカルシウムやリン酸が関わる結晶構造について学び、大学では生物にみられる硬い組織を構成する鉱物について学びました。特に惹かれたのが人間の体内で作られる結晶で、コラーゲンの繊維とアパタイトが縦横に組み合わさった骨の構造はとても美しく、人体の芸術的センスに魅せられました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学特別研究員/製鉄会社開発/材料生産管理

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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