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講義No.08793

文明の発展あるところに土壌学あり! 土が人類に果たす役割とは?

食糧生産に適する土壌とは

 土壌学はこれまで農学の中で扱われてきました。それは、土が岩石の崩れたものや堆積物から自然にできるものであるにもかかわらず、人類にとっては食糧生産に利用するという側面が大きいためです。
 作物を育てるのに向いている黒くてふかふかした土は、栄養がたくさん含まれているだけでなく、それをほどよく保持します。粘土や砂の粒が適度な空間をつくるために、水と空気を含み、あまたの生物が暮らせるのです。地球上で、固体と液体と気体の割合がほぼ1:1:1になる場所は土しかありません。土は重要な生命の源であり、非常に貴重な環境でもあります。

良い土があるところから、土はなくなっていく

 作物生産に有効な土地があると、人はその近くに住むようになるため、文明は肥沃で、なおかつ水をコントロールしやすい土地で興ります。したがって大河川の流域で都市化が始まり、文明の発展にともなって田畑を耕すことをやめ、地盤を堅硬にしたり、起伏を削ったりしてしまいます。都市化で増大する人口を養うためには食糧生産力を上げる必要があるのに、一番肥沃な土地から都市になっていくのです。日本は河川が多い国なので、河川が上流から運んできてくれた肥沃な土が平野部に広がっているのですが、一番都市化の進んだ土地だと、すでに地面の約75%が舗装で覆われてしまっています。

土から川、そして海へ、すべては巡る

 こうして肥沃な土地がなくなると、都市の外側の、肥沃ではない土地で食糧の生産を行うようになり、生産量を増やすために大量の肥料を使い始めます。しかし作物は作物にとってタイミングの良い時にしか栄養を吸収しないため、余った肥料が川に流れて海に運ばれます。1970年代に日本の海で赤潮が頻繁に発生したのは、この肥料の影響もあります。
 肥料を作るには非常に大きなエネルギーが必要ですから、私たちはエネルギーを使って、かつ環境を汚染してきたのです。近年はこのような問題があることから、環境化学の分野でも土壌学が扱われるようになっています。


この学問が向いているかも 土壌学、地理学、環境化学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
都市環境学部 地理環境学科 准教授
川東 正幸 先生

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メッセージ

 歴史の勉強と同じで、世代を経れば経るほど人は覚えなくてはいけないこと、できなくてはいけないことがどんどん増えていきます。高校生のあなたは人口の逆ピラミッドを支える世代になるので、試練も多いかもしれません。
 しかし、英語が話せるとかコンピュータが扱えるとか、そういう社会からのいろいろな要求に疲れることなく、「自らがやりたいからやる」という楽しみのようなものを常に持つと良いと思います。多様な環境、多様な生態系、多様な人類の一員として、あなただからこそできることをこれから見つけていってください。

先生の学問へのきっかけ

 もともと、私は有機物に興味があって、土壌中の有機物の研究をしていました。一種類の土壌の中にも非常にバラエティに富んだ特性を持つ有機物が多く含まれており、しかもその多様な中にも規則性があると気づいたことが、土壌学を志した大きなきっかけです。そこから多様性の中に規則性を見出すこと、また土がさまざまな用途に利用されていることに興味を抱くようになりました。土自体に対して、変化のない均質なものというイメージがあったのですが、実は意外とダイナミックで面白いものなのです。

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川東 正幸 先生がいらっしゃる
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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