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講義No.08776

「逆上がりができない子は鉄棒が苦手な子」というのは本当?

鉄棒で連想するのは逆上がり?

 「鉄棒運動の中で、自分に子どもがいた場合に習得させたい技は?」と聞くと、日本人の多くの人が「逆上がり」と答えるのではないでしょうか。小学校で逆上がりのできない子は、鉄棒が苦手とみなされてしまいがちです。しかし、そもそも逆上がりという技は、学習指導要領では小学5年生から習うものと位置付けられています。小学4年生までに逆上がりがうまくできなかったとしても、何一つ、おかしなことなどないのです。
 しかも逆上がりという技は、鉄棒の技を形成していく際の流れからはやや外れていて、ほかの技を習得したほうが違う技に応用しやすいと考えられます。なぜ私たちは、「逆上がりができない子は鉄棒が苦手な子」と思い込んでしまっているのでしょうか?

組織文化のピラミッドから考える

 アメリカの心理学者エドガー・シャインは、人間社会の組織文化にはピラミッド的な構造が存在する、と指摘しています。ピラミッドの一番上にあるのは具体的に目に見える行動(逆上がりを教える、教わる、など)、その下にあるのが指導観(小学生は逆上がりを習うもの、など)や価値観で、これらは指導者も教わる側も自覚できる領域です。その下には無自覚的な層として、私たちの中にある基本的な前提認識(小学生は逆上がりができるべき、逆上がりができない子は鉄棒が苦手な子、など)が存在しています。鉄棒運動の場合、この前提認識は、日本固有の体育に対する見方や雰囲気によって形成されたものと考えられます。

今持っている価値観を疑ってみる

 こうした無自覚の前提認識に影響された指導観による体育指導は、場合によっては、合理的な裏付けに欠ける内容になってしまいがちです。日本の社会の中で生まれ育つうちに、いつのまにか当たり前と思い込んでいたことを一度疑ってみることが大切です。
 目の前にいる子どもたちにとって何が必要なのかといった本質的なことを考え、よりよい教育を実現できる環境を作り上げていくなど、これからの体育教育には、そうした新しい風が必要とされているのです。

体育の暗黙の了解って?

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この学問が向いているかも 教育学、体育科教育学

帝京大学
教育学部 初等教育学科 初等教育コース 准教授
成家 篤史 先生

メッセージ

 今、自分が持っている価値観を、一回、疑ってみてください。例えば、小学校の体育の授業で、児童たちがかぶっている赤白帽や体育着などは海外の学校で使われているでしょうか?
 私たちがいつのまにか当たり前だと思い込んでいることが、気づかないうちに思わぬ弊害をもたらしている可能性もあります。すでにある価値観にとらわれることなく、これからの新しい体育の授業に必要な考え方は何かということを、見つめていってほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 教育学の中でも初等教育学の分野で、小学生などの子どもたちに体育を教える教育手法について研究しています。
 大学卒業後、最初は企業に就職して働いていましたが、「自分の進むべき道はこれじゃない」と思うようになり、通信教育で小学校教員の資格を取得し、小学校で子どもたちを教えるようになりました。
 しかし、現在の学校教育の現場が抱えているさまざまな課題に直面し、何とかその現状を打破したいという思いから、夜間の大学院で学び、現在の研究の道に進んだのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

小学校教諭/中学校保健体育科教諭/高等学校保健体育科教諭/スポーツ関連業務

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成家 篤史 先生がいらっしゃる
帝京大学に関心を持ったら

 医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」が2015年9月完成。
 2017年11月には2期エリアが完成し、「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。

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