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熊本大学 工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • がん(癌)、
  • 再生医療、
  • 医療、
  • がん細胞、
  • 血液、
  • フィルタ、
  • 検査

がん検査や再生医療の未来を切り拓く「マイクロ・ナノテクノロジー」

現状のがん検査の問題点とは

 現在のがん検査は、CTという医療機器で体の断層写真を撮影してがんの疑いがあると、組織を採取して病理検査を行っています。この方法は患者にとって時間や費用がかかり、侵襲性も高い(肉体的負担が大きい)という欠点があります。画像から判断するため、小さながんを見落とす可能性もあります。このようながん検査の問題点を解決するのが、血液検査でがんの検査診を行う方法です。現在、専用の検査機器が開発されています。

がん細胞だけを検知して、その数を計測

 この検査機器は、がんになった組織から血管に侵入したがん細胞を検知します。注射器の形をしていて、採取された血液はシリンダーに流れ込み、がん細胞を検知する溶剤が塗布されたフィルタを通過します。この溶剤は、がん細胞の細胞膜にあるタンパク質に特異的に結合するように、DNAを改変したものです。また、フィルタにはがん細胞だけをせき止める小さな穴が開いています。がん細胞はほかの細胞よりやや大きいので、この仕組みで大まかにとどめることはできますが、中には通過してしまうものもあります。そこでフィルタを3次元的に変形させて、血液が流れるときの力の差を利用してがん細胞だけを保持できるようにしています。
 保持されたがん細胞は、リトマス試験紙のような専用の試験紙に塗布して色の変化でがん細胞の数を調べます。これなら安価に大量に作ることができ、検査の時間もかかりません。

再生医療で利用されるマイクロ・ナノテクノロジー

 この装置の開発を可能にしているのは、マイクロ・ナノテクノロジーです。フィルタに開ける穴の大きさは20~30ミクロンで、この穴は半導体製造に使われる「フォトリソグラフィ」という技術で作ります。この技術は、iPS細胞で分化した細胞を組織や臓器の形に形成するゲル状の枠の開発にも利用されています。分化した細胞を機能のある器官の形にすることは、再生医療の今後の課題です。再生医療にとっても、マイクロ・ナノテクノロジーは重要な技術になっています。

手のひらサイズの健康・医療検査デバイス

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血液からがん細胞を取り出せるフィルター!

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この学問が向いているかも 機械工学、マイクロナノ工学、生体医工学


工学部 機械数理工学科 准教授
中島 雄太

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メッセージ

 あなたは、「大学」ってどんなことをする場所だと思っていますか? 自分が進むべき道を、どういうふうに選択しようと考えていますか?
 私は、「大学とは自分がやりたいことを実現する場所」だと考えています。私自身、現在の研究内容は、大学時代の発想を、そのまま専門分野に発展させたものです。あなたにも進路選択の際は、自分のやりたいことや興味があることを重視してもらいたいと思います。自分がやりたいと思っていることなら、やる気も出て、積極的に行動できるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 大学に進学するときに医療分野にするか工学分野にするか迷いました。医療に進むと進路がその分野に限られますが、工学部なら工学の知識で医療分野にも関わることができるので可能性を残しておきたいと考え、また、もともと飛行機や重機が好きで機械工学に興味があったので、工学部を選びました。
 その後、「マイクロ・ナノテクノロジー」に出会いました。当時、この分野は研究が盛んに行われていて、自分でも何かできないかと考えるようになり、マイクロ・ナノテクノロジーをバイオや医療の分野に生かす研究を始めました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電気機器企業研究開発/自動車会社設計開発・研究員/電気・電子関連企業研究開発/医療機器企業研究開発など、多種多様な分野で活躍できます。また、80%程度の学生が大学院に進学しています。

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