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講義No.08690

食と健康の関連を評価する「栄養疫学」

その食情報、本当にホント?

 テレビや雑誌などには、「この食材は〇〇にいい」「△△を食べると病気が防げる」といった、「食と健康」に関する情報があふれています。しかしそれらの情報には、誰にでも効果が期待できる科学的根拠があるのでしょうか? 信ぴょう性を判断するためには「栄養疫学(えきがく)」という学問が大きく関わっています。疫学とは、特定の集団を対象として、疾病などの健康に関する事象の頻度や分布と、その規定要因を明らかにして、有効な対策づくりにつなげる学問です。

栄養と健康の関係に、疫学的視点でアプローチ

 栄養疫学は「食物・栄養」と健康との関連をテーマに据え、「人々の食生活」において疫学の手法を用いて明らかにすることを目的としています。例えば、「野菜・果物の摂取量とがん発生率の関係」などを、ヒトの集団を対象に調べます。対象の集団が何をどれだけ食べているかを調査し、特定の病気や健康事象との関係を分析するのですが、両者の間に観察された結果が本当の因果関係とは言い切れません。食生活を調べるタイミング(病気になる前後で思い出し方が異なる)、喫煙や日常の運動量などの第三の要因が関わっていたりするからです。ここに人間を対象とする研究の難しさがあります。

食と健康の正しい情報が社会に届くように

 あらかじめ要因となる可能性をもつ生活習慣などの要素を調べ、未来に向かって追跡調査する方法を「前向きコホート研究」と言い、病気にかかる前に生活習慣を調べることで、偏った結果に導かれることを防ぐことができます。さらに、最も信頼性の高い方法として、対象者をランダムに投与群と比較群に分け、疾病の発生状況を両群で比較する「無作為化比較試験」という方法があります。この方法で行われた複数の研究で、喫煙者がサプリメントなどでβカロテンを過剰に摂取すると肺がんのリスクが高まるという、予想を覆される結果も明らかになっています。
 イメージに流されない正しい食情報を社会に届け、健康づくりに貢献することが、栄養疫学の大きな使命なのです。


この学問が向いているかも 栄養学、栄養疫学、公衆衛生学

奈良女子大学
生活環境学部 食物栄養学科 教授
高地 リベカ 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 学ぶということは、人に言われてできるものではありません。学びのモチベーションを見つけるのは、ほかならぬ、あなた自身です。受け身で勉強することに慣れてきた人は、ぜひ早いうちに「自分はこれがやりたいんだ!」という学びのモチベーションを見つけてください。
 やりたいことが明確になれば、おのずと進むべき道も見えてきます。自分のやりたいことには、いつ、どんな形で出合うかわかりません。好奇心のアンテナの感度を上げ、常に「どうしてだろう?」と考えるマインドを持ち、学びの道をつかみとってください。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

管理栄養士/行政/研究/栄養教諭

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高地 リベカ 先生がいらっしゃる
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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