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講義No.08660

さあ、誰も見たことのない有機化合物をつくる冒険に出かけよう!

化合物の常識を覆す研究

 自然界に存在する有機化合物の大半には、炭素のほかに水素や酸素が組み込まれた形で存在します。これは有機化合物の研究において常識とされていることですが、炭素、水素、酸素の代わりに別の元素を組み込むと、今までにない特性を持つ有機化合物を生み出せる場合があります。

「ベンゼン」から生まれる可能性

 化学を勉強したことのある人ならほとんどの人が知っている分子の1つに、「ベンゼン」があります。ベンゼンは炭素と水素からできていて、六角形の平面構造を持っている、とてもきれいな形状をした分子です。例えば、このベンゼンを構成する炭素を、元素の周期表の縦の列である性質が似ている同じ族番号を持つケイ素に置き換えると、より反応性の高い「シラベンゼン」という分子をつくり出すことができるのです。
 この分子はそのままだとあっという間に分解してしまう不安定なものですが、周囲を置換基と呼ばれる構造で覆うことで、より安定した状態にすることが可能となります。ほかにも、紫外線に反応して光る分子や、水中のシアン化合物のみに反応する分子などをつくり出す試みなど、有機化合物に関してはさまざまな研究が進められています。

熱い注目を集める有機化合物

 最近では、有機ELディスプレイをはじめ、太陽光発電やバッテリーに必要な材料など、それぞれの目的に応じた特性を持つ新たな有機化合物をつくり出す研究が、世界的に注目を集めています。合成する際に細かな部分をチューニング(調整)しやすい有機化合物は、目的に応じた特性を持たせるのに適した土台となります。例えば、ベンゼンを活用する事例では、一直線に並べたベンゼンの分子をつないで輪にし、それを積み重ねてチューブ状にすることで、非常に均一な太さを持つ「カーボンナノチューブ」を形成することができます。
 まだ誰も見たことのない有機化合物を、あなた自身がつくり出し、それが社会の中で大いに役立てられるようになる日が来るかもしれません。


この学問が向いているかも 有機化学

国際基督教大学(ICU)
教養学部 アーツ・サイエンス学科 准教授
小林 潤司 先生

メッセージ

 化学を学んできて、一貫してあったのは、「化学という学問は楽しいものだ」という思いです。楽しいのは「わからないものをわからないまま受け止めて、しっかりと考える」、その過程です。わからないということは、恥ずかしいことではありません。不思議に思って、「なぜなんだろう」「どうしてなんだろう」と考えながら突き進んでいくことが、化学を楽しむ秘訣です。
 わからないことがあったら、自分の頭でしっかりと考えて、自分なりの意見を持ち、それについてディスカッションできるような環境に身を置くようにしてください。

先生の学問へのきっかけ

 化学について興味を持ったのは、高校2年生の時に出会った化学の先生がきっかけでした。その先生はいつも本当に楽しそうに化学について話していたので、「自分の好きなことをしながら生活ができるというのは、素敵なことだなあ」と感じました。
 そうして化学が好きになり、大学でも化学を選択しました。大学で入った研究室では、有機化学について新しい研究テーマを立ち上げたばかりのところで、そのテーマにぜひチャレンジしたいと考え、いつしか研究に夢中になっていきました。

大学アイコン
小林 潤司 先生がいらっしゃる
国際基督教大学(ICU)に関心を持ったら

 ICUは教養学部1学部の中に31のメジャー(専修分野)を設けています。学生は入学時に専攻を定める必要がなく、入学後に様々な科目を履修し、自分の関心を見極め、2年次の終わりまでにメジャーを決定します。メジャーには、文学、物理学、心理学などの伝統的な学問分野と、「平和研究」「アメリカ研究」などの問題解決型や地域研究型があります。どの分野も、他大学の学部に相当する科目群を配し、専門を系統的に学ぶことができます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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