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講義No.08609

次世代エネルギー「水素」への高まる期待

エネルギーを貯める・運ぶ重要な物質「水素」

 次世代エネルギーとして注目されている「水素」は、そのままの形では存在しませんが、さまざまな物質に含まれています。取り出した水素をエネルギーとして燃焼させても二酸化炭素(CO2)を排出しないという点から、再生可能かつクリーンエネルギーとして、実用化に向けた研究・開発が進められています。
 現在、水素製造の一番ポピュラーな方法は、天然ガスの主成分メタンと水蒸気を反応させて取り出す「水蒸気改質反応」ですが、この方法は高温を必要とするとともに大量のCO2が発生します。そこで、「省エネルギーかつCO2を副生しない方法」で水素を製造し、エネルギーキャリアとして貯蔵・運搬する技術が求められているのです。

植物を手本に! CO2を資源に!

 その1つが、植物の光合成のような方法で水素を作る方法です。光合成は、植物が太陽光のエネルギーを借りてCO2と水から酸素と炭水化物を生成する反応です。その反応過程の中の、太陽光エネルギーが水を分解する部分(明反応)を手本に、太陽光と水、光触媒の3つを反応させて水素を取り出そうという技術です。
 また、製鉄所や火力発電所などで日々大量に排出されるCO2と天然ガスを化学反応させ、水素と工業的に有用なガス(CO)を製造することで大気中へのCO2排出量を減らそうという視点からの技術もあります。

いろいろな技術を組み合わせて

 現在の社会では、地球温暖化をはじめとする環境問題、エネルギー問題、経済問題など、さまざまな問題が複雑に絡みあっているため、「ひとつの技術ですべて解決」というわけにはいかず、いろいろな技術を開発し、その組み合わせを考えることが重要です。
 また、社会のシステムに研究をうまくあてはめるために、工学分野内だけでなく社会的問題としてどうとらえるか、法律的に問題がないかなどを検討するために、人文社会系の研究者との連携も必要になっているのです。


次世代エネルギー「水素」の製造法

この学問が向いているかも 化学、応用化学

神戸大学
工学部 応用化学科 教授
西山 覚 先生

メッセージ

 私は、新しいエネルギーキャリアとして注目されている水素の製造をテーマにした研究を進めています。
 IT(情報技術)が進み、社会の変化のスピードはとても速く、研究者にはそれについていく柔軟性が求められています。また、グローバルな世界で役に立つための語学力や、いろいろな人とつきあうための多様性を理解する力、そして専門性というように、全体的な人間力が必要です。大変な時代ですが、専門的な知識だけではなく、いろいろな力をつけてほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代の物理・化学の先生はとても実験好きでした。当時は「受験戦争」といわれる時代で、理科の授業でも実験は少なかったのですが、その中でも、無色の液体同士を混ぜ合わせると真っ赤な液体になる、真っ黒な粉になる、そんな手品のような化学変化の数々を目の当たりにした経験は、大学で化学を学ぶ大きなきっかけになりました。
 また、生活に密着した化学反応の題材、例えば「ホッカイロ」はなぜ温かくなるのかなどの話もたくさん聞かせてもらったことで、生活に役立つ社会と密接に関係している学問をしたいと思うようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

エネルギー関連会社研究職/新規プロセス開発、自動車製造会社技術職/塗装関係生産技術、総合化学会社技術職/包装、電子デバイス用高機能フィルム製造

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西山 覚 先生がいらっしゃる
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