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講義No.08534

「海馬」は記憶の必殺仕分け人? ~脳科学で記憶の仕組みを解明~

人の脳は優秀な情報処理マシーン?

 人間の脳はとても複雑で、現代医学や科学でもまだ解明できていないことが数多くあります。そんな脳の研究を行う脳科学分野の中でも、脳を情報処理機械に見立て、その機能を調べる研究分野を「計算論的神経科学」と言います。
 脳の大切な機能の1つに「記憶」があります。計算論的神経科学では、脳のデータを解析して神経回路がどのように物事を記憶しているのかを分析しています。記憶を時間的に分類すると、長期記憶と短期記憶に分けられます。短期記憶は、電話番号を見て覚えておいて、すぐ電話をかけるような場合です。長期記憶は文字通り、年単位で長期間覚えている記憶です。

記憶を仕分けする司令塔「海馬」

 長期記憶にはさらに、昨日の食事メニューなど特定の体験を通して覚えている「エピソード記憶」と、いわゆる暗記のように知識にひもづく「意味記憶」があります。エピソード記憶と深い関わりがあるのが「海馬(かいば)」と呼ばれる脳の一部分です。海馬は神経細胞の結合をつくる役割を果たしていると言われ、短期記憶から長期記憶へと情報をつなげる中期記憶を担う器官です。日常的な出来事や学習して覚えたことは、いったんこの海馬にファイリングされ整理整頓してから、大脳皮質という部分へ保存されていきます。つまり記憶を仕分ける司令塔なのです。

記憶を失うのは海馬が弱るから?

 ところがこの海馬はとてもデリケートで壊れやすく、脳がダメージを受けると真っ先に働かなくなります。「酔っ払って前日の記憶がなくなる」と聞いたことがあると思いますが、あれはアルコールによって海馬の働きが鈍っているからです。
 海馬の神経回路をAI技術を使ってシミュレーションや解析をし、再現する研究も行われています。海馬はおよそ2年分の記憶をプールしていると言われます。短期記憶から長期記憶への神経回路の働きや仕組みがわかれば、より効率的な学習方法や記憶訓練、頭を使う訓練に役立つことでしょう。


この学問が向いているかも 脳科学

公立はこだて未来大学
システム情報科学部 複雑系知能学科 教授
佐藤 直行 先生

メッセージ

 脳の研究は、医療分野はもちろん、心理学や脳科学、情報処理や工学まで幅広い方面から多角的なアプローチができる分野です。特に公立はこだて未来大学は情報工学系ですが、教員の分野も多岐にわたっていて、広い視野で物事を学べる大学です。
 「誰もやってないことをやってみたい」「何か新しいことを学びたい」と考える人にとっては、とても面白い学びの場です。コンピュータ技術や情報工学を使って何ができるのか? それを一緒に考えてみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 情報工学系の高等専門学校で、コンピュータのプログラミングを学び、大学でも工学部でひたすらプログラミングコードを書いていた時に、ふと「人工の脳をつくって、それにプログラミングを書かせればラクじゃないかな?」と思ったのが、脳に興味を持ったきっかけでした。
 その後、「脳をつくる」という大きなプロジェクトに参加し、研究員としてひたすら脳の仕組みや働きについて研究する中で、改めて「脳はすごい働きをするんだ」ということを実感していきました。

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佐藤 直行 先生がいらっしゃる
公立はこだて未来大学に関心を持ったら

 今の車はコンピュータなしに動きません。また、航空機の予約もできません。社会全体がコンピュータなしでは動かないようになっており、これからもっと広がっていくでしょう。資源がない日本では、社会全体に影響力のあるIT(情報技術)を武器に、世の中のさまざまな分野に踏み込んで革新をもたらしていくことが重要です。そのためには、これから世界を変えてやろう! と考えている学生に来てほしい。最先端を科学する不思議と驚きの世界に会いに来てもらいたい。未来大は、そうした意欲に十二分に応える教員と研究環境が整っています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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