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講義No.08366

流れの「視える化」技術で、心臓が工場で作れるようになる?

見えない流れを可視化する技術

 自動車の車体の周りの空気の流れを、見たことがありますか? 空気の動きは通常は目では見えません。しかし機械を通してなら「視る」ことができます。見えない流れを視る=可視化する技術は「トモグラフィー」と呼ばれています。空間的にとらえて視る3Dに加えて時間を加えた4Dで計測する技術が「プロセス・トモグラフィー」です。気体や液体といった流体の中にある「粒の濃度」の変化を視ることができるのが特徴です。

医療分野とのコラボレーション

 人間の体には機械的にとらえられる部分が多々あります。心臓が動き、血管やリンパ管を通じて物質が運搬されている様子は外からは見えませんが、プロセス・トモグラフィーを使うと、流体の中の粒、つまり血管中の血栓や、通常の細胞の中に混じっているがん細胞を発見できるのです。プロセス・トモグラフィーの強みは従来のMRI(磁気共鳴画像撮影装置)などと比べ安価で簡素な機器で測定可能で、患者自身が身につけてリアルタイムで自分の体に起こっていることを視られることにあります。医療・工学両面での応用は今後もさらに期待されています。

人の心臓が工場で作られる未来

 実は、人間の心臓や眼球といった臓器を体外であらかじめスペアで持ち、悪くなった部分を差し替えて治療する時代が100年以内に来ると言われています。臓器自体はiPS細胞を使って複製することがすでに技術的に可能です。自動車が1枚の鉄の板から始まり、工場のラインの中で、成形され、エンジンなどのパーツが搭載されて生産されていくように、1つの細胞を入れればライン上で増殖して成形され、心臓を作り上げていく方法が検討されています。
 そのときに必要とされるのが細胞を分ける技術です。細胞が増えていく過程で良い細胞、使えない細胞に分けて臓器を作り上げていく工程にも、プロセス・トモグラフィーでリアルタイムに悪い細胞の存在を視る機能が役に立つのです。


この学問が向いているかも 機械工学、医療工学

千葉大学
工学部 総合工学科 機械工学コース 教授
武居 昌宏 先生

メッセージ

 「機械工学」に興味があるなら、自動車やオーディオなどの機械を触るのが好きかもしれませんが、機械を操作して楽しむのと、機械を作ったり技術を開発したりする研究をするのとでは、絵を見るのと描くのぐらいの差があります。
 作る側に立つのは簡単なことではありません。私の研究室では「見えない流れを視る技術」を開発しています。医療分野や発電プラントなどで、幅広く社会に役立つ研究です。難しくても挑戦したい人、ぜひ研究室でお会いしましょう!

先生の学問へのきっかけ

 大学時代、ある授業のレポートの提出がギリギリになってしまったので研究室に直接届けに行ったところ、教授に熱心な学生だと思われて、顔見ると声をかけてもらえるようになったのです。その教授の専門が「流体の研究」でした。教授の人柄にひかれたこともあり、その後、研究室に頻繁に出入りするようになり、実験の手伝いをするうちに自然と研究内容自体にも興味がわき、専門として究めていくことになったのです。高校生の時の夢だった「世界に出て行くこと」も、イギリス留学や海外との技術提携で実現しました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

エネルギー関係エンジニア/重工メーカーエンジニア/システムエンジニア/プラントメーカーエンジニア/食品薬品化粧品エンジニア/大学教員研究者/高専教員

大学アイコン
武居 昌宏 先生がいらっしゃる
千葉大学に関心を持ったら

 千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全10学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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