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講義No.08346

実験とデータ分析で、貧しい国を豊かにする「開発経済学」

貧困層の子どもが学校に行けない意外な理由

 世界には、一日150円以下で暮らす貧困層が約9億人いると言われています。貧困から抜け出すには仕事に就くための教育が必要ですが、学校に行けない子どもがアフリカやアジアには約5,900万人もいます。近年は、国際援助で学校の数も増え、小学校の授業料は無料なのに、学校に行けないのはなぜでしょう?
 調べてみると、「保護者が学校へ行かなくてもいいと考えている」「子どもの健康に問題がある」という理由がありました。貧困層の大半は農村部に集中していて、農作業の手伝いをする子ども、寄生虫で体調を崩す子どもが多かったのです。

実験をして、効果のある政策へ

 本当にそれが理由なのかを確認するために、約100の村を選んで実験が行われました。そのうち半数の約50村では、保護者に教育の大切さを伝え、残りの村では何もしませんでした。また別の実験では、子どもに寄生虫に対する薬を飲ませる村と飲ませない村とで比較をしました。
 結果は、保護者に教育の大切さを伝えた村、子どもに薬を飲ませた村のほうが、進学率や教育レベルが上がり、将来の賃金の上昇も見込めたのです。教育費や薬代などかかった費用に対して、将来の賃金がそれ以上に上がれば、費用対効果が高い(つまりコスパがよい)ということになります。この実験結果は実際の政策にも生かすことができるでしょう。このように貧困の仕組みを経済学の視点から探り、政策に役立てる学問を「開発経済学」と言います。

航空写真で貧困がわかる!

 貧困の実態を探るために、これまでは何を食べ、何にお金を使っているかなどを1世帯ずつ聞きとって調査していました。しかし、今では航空写真を解析することで貧困地域を特定することができます。例えば、住宅の屋根の材質が金属で、駐車している車の台数が多ければ豊かな世帯、夜間の光量が多ければ経済活動が活発な地区ということがわかります。このように開発経済学では、さまざまな実験やデータの分析などから、貧しい国を豊かにする研究が続けられているのです。

開発経済学入門:貧しさの測り方とは?

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なぜ貧しい国は貧しいのか

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この学問が向いているかも 開発経済学

名古屋市立大学
経済学部 公共政策学科 准教授
樋口 裕城 先生

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メッセージ

 高校生のうちに将来を決めるというのは、難しいでしょう。でも、そんな中で進む大学や学部を決めなければなりません。それなら自分が何を勉強したいかを高校生のうちに真面目に考えて、それを学べる大学を探したほうが幸せになれると思います。
 私は大学入学後に、開発途上国に興味を持ち、「開発経済学」の研究の道に進みました。日本も昔は貧しかったので、途上国を知ることは昔の日本を知ることでもあります。今の日本の豊かさを当たり前と思わずに、視野を広げてください。

先生の学問へのきっかけ

 中学2年生の時に、ニュージーランドへ行ったのが初めての海外体験でした。「これからは英語が話せたほうがいい」と考え、英語を一生懸命に勉強し、将来は国際機関で働けたらと考えていました。ところが大学進学後に転機が訪れました。夏休みにアジアや中東をバックパック旅行をして感じたのは、「自分はたまたま豊かな日本に生まれたから海外旅行ができるけど、現地の人は一生懸命働いても日本に旅行に来られない」という厳しい現実でした。「途上国の貧困をなんとかしたい」と思い、貧困問題に取り組む開発経済学の研究を進めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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 名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
 大学の最も重要な使命は、優れた教育を通して地域および国際社会で活躍する有為な人材を育てること、すなわち「人づくり」です。知識の詰め込みではなく、自ら課題を見つけ、その解決に正面から取り組む姿勢を養うため、本学では、学生と教員の触れ合いを大切にし、演習、実習を重視する少人数教育を行っています。

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