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立正大学の教員による講義

関心ワード
  • 心理化、
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  • 経済、
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  • セラピー、
  • 心(こころ)

戦後日本における3つの「自己」から見えてくる社会のあり方

戦後70年間の4つの時代と3つの自己像の区分

 社会が大きく変化する中で、個人のあり方が問われています。戦後70年間の「個人のあり方=自己」の変遷を見てみましょう。
 戦後の混乱期を経て1960年代から70年代に「理想の時代」が到来しました。政治的に理想的な社会が信じられ、安保闘争などの活動も盛んでした。この時代に「理想的な自己」像が誕生しました。高度経済成長期を経て、70年代から80年代は、人々が豊かになり、「夢の時代」と呼ばれました。ここでは、公的な領域に意味を見出さず、私的な領域に生きがいを求める「私化する自己」が生まれました。80年代後半のバブル経済期は「虚構の時代」と呼ばれ、自己はさらに私化し、バブル経済の解体を受けて不安化しました。そして90年代以降現在までは「断片化する時代」と呼ばれ、「心理化する自己」が現象として見られます。

「心理化する自己」とは何か

 90年代はグローバル化にともない所得階層が二極化し、雇用が流動化・不安定化しました。そして人々の関心は自分の内面に向き、スピリチュアルなものやセラピー的な言葉が注目されました。また人間関係においては、他者を傷つけることを恐れる傾向が顕著となりました。自分が社会に関わることで存在意義を見出していた「理想的な自己」とは違い、自分らしさに重きを置いた自己は、ある意味では健全だと言えるかもしれませんが、一方で、自己や他者への感情的な意識が高度化した自己でもあります。

オタク文化やナショナリズムも「自己」と関連が

 現在の自分を中心に考える「心理化する自己」は、アメリカではネガティブにとらえられますが、日本では意外とポジティブに見られています。オタク文化が発展したのも自己の私化の成熟した形と言えます。しかし個人が分断された状態が長く続くと、人の心は大きな物語のような枠組みを取り戻したがり、ナショナリズムに走る傾向も見られます。どちらが正しいかなどの判断を急ぐのではなく、このように社会の傾向を分析するのが「社会学」の考え方なのです。

この学問が向いているかも 社会学


文学部 社会学科 教授
片桐 雅隆 先生

メッセージ

 あなたは音楽やスポーツに打ち込むことで、自分らしさややりがいを見つけることがあるでしょう。「社会学」という学問にも同じことが言えます。社会学は、自分が日頃感じていることや、今生きている時代のことなどの、さまざまな経験を通して、「自分とは何か」「社会とは何か」を考える学問です。音楽やスポーツを通して自分を発見するのと同じように、社会学を通して、「自分とは何か」「今の社会はこうなっているのか」ということを発見するのです。社会学を勉強して、自分らしさや社会の中の自分を考えてください。

先生の学問へのきっかけ

 受験勉強をしていて「社会のためではなく自分がいい大学に行って、希望する職業に就くために時間を費やす、こんなことをやっていていいんだろうか」と疑問に思っていました。
 大学時代は、学生による社会的な運動「大学紛争」が盛んで、時代の空気が社会のため、政治のためという考え方を中心としていました。しかし、時代が変わると、経済の高度成長やバブル景気に浮かれるようになり「時代や社会のあり方によって人の考え方も変わるのはどうしてなんだろう」という興味を追究したいと考えたことが、社会学を学ぶきっかけとなりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

接客などのサービス業/イベント企画企業/マーケティング業/教師や公務員など

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