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講義No.08303

政府が国民を監視する、現在の国家制度の起源を探る!

アジアの植民地国家に現代国家の起源がある

 19世紀から20世紀の初頭にかけて、東アジア、東南アジア地域は日本など一部の国を除いて、植民地統治下に置かれていました。これらの地域の現在の国家の起源は、この植民地統治の時代にさかのぼることができます。この時代に、さまざまな制度が構築され、現在、私たちが暮らす世界の原型が出来あがってきたのです。その1つが「国家による住民の監視制度」です。これは植民地統治下に置かれていた民衆が、独立を求めて政治運動を行いだしたことに対応して整備されたものでした。

「政治情報警察」はいかにして誕生したのか

 この政治運動の1つが共産主義運動でした。共産主義運動は、1917年のロシア革命によりソビエト連邦が成立した後に設立された「第3インターナショナル(通称コミンテルン)」から資金などの支援を受けていました。植民地を統治している側からすれば、この共産主義運動は大きな脅威だったので、共産主義運動の取り締まりは非常に難しいものでした。それは、誰が共産主義という思想を持っているのかが、その外見からはわからないことにありました。この問題に対処するために誕生したのが、「政治情報警察」でした。

地域に入り込み、学問的事実を構築する

 政治情報警察がどのようにして共産主義運動を取り締まっていたのかについての研究は、主に公文書館に所蔵されている資料を使って行います。しかし、それだけでは全体像をつかむことができません。警察の調書に書かれている内容を確認するために、実際に現場に赴き、地図を片手に街を歩くことも、歴史を再構成する上で重要な作業です。
 地域や歴史を対象にした研究を行う上で大切なのは、柔軟な想像力と、「現場感」とも言うべき、その地域やその時代が持っている雰囲気をつかむことです。これは机の上で学ぶだけでは得ることができません。さまざまな方法論を組み合わせ、資料と現場を往復することで、自分の感覚を磨くことが求められているのです。

アジアにおける「近代国家」の成立

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100年前の世界情勢

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アジアの植民地支配

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近代国家への道

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この学問が向いているかも 国際関係史

九州大学
共創学部 共創学科 准教授
鬼丸 武士 先生

先生の著書
メッセージ

 大学に入るに際して、好奇心を失わないでほしいと思っています。いろいろなことを知り、興味を持つことが大切です。その上で、さまざまな分野の本を読み、たくさんの人の話を聞いてください。
 さらに、それだけではなく、自分が思ったこと、考えたことを人に話したり、できれば書いてみましょう。大学は単に知識を身につける場所ではありません。考える方法を自分で見つけて、それを実践する場所です。いまは、ぜひそのための準備をしてほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の時にNHKの『シルクロード』という番組を見て2千年も前に中国からローマまで道が通じていて人が行き来していたことに驚き、それ以来、歴史に関心を持つようになりました。
 今は東アジア、東南アジアの研究を行っています。2百年前と現在の国家は、国家と国民の関係が大きく異なります。現在では国勢調査や住民票という制度があり、国境を越える時はパスポートが必要ですが、2百年前の国家には住民票もなければ国勢調査もなく、そもそも国民という概念自体が希薄でした。この2百年で国家は大きく変化しているのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

外交官/行政官/研究者/鉄鋼メーカー社員

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鬼丸 武士 先生がいらっしゃる
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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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