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講義No.08254

「経済格差」って、本当に広がっているの?

注目される「経済格差」問題

 2000年代に入って以降、世界中で「格差」問題が注目されるようになりました。所得や資産が多い人と少ない人の差が広がっているというのです。例えばアメリカでは、裕福な1%の人が、国民すべての所得のうち2割以上を占めており、さらにその割合が増えつつあるというデータがあります。そうした中で、日本でも格差について議論されるようになりました。

日本における所得格差の実態

 しかし、データをきちんと分析していくと、単純に所得格差が拡大しているとは言い切れないことがわかってきます。高齢者は退職すると所得はなくなるので、退職者が増えれば、全体として所得が低い人が増えていくことになります。これは、日本社会の高齢化にともなう人口構成の変化によるものです。ただし、退職した高齢者は年金という形で収入を得られるので貧困になっているわけではありません。働いて稼いでいる所得の数値だけを見ていると、格差は拡大しているように見えますが、税や社会保障も含めた「再分配後の所得」で考えれば、日本において所得格差は拡大していないことがわかります。

何が「経済的真実」か?

 経済学では、こういった問題に対して、正しいデータに基づく実証分析を行います。物理や化学と違って、経済学では実験をすることがほとんどできません。そこで、現実の社会で起こっている現象を数値化し、分析することで、経済的真実を導き出すわけです。実証分析によって出された結論は、政策などに反映されます。社会保障や税によって国民に再分配するという政策も、それが本当に効率的なのか、公平なのかという観点で検討する必要があります。
 格差問題を考える場合、単に格差を解消すればいいわけではありません。なぜその格差が生じているのかという、その背景を考えることが重要です。たくさん働いた人とあまり働いていない人が同じ所得だというのは、公平とは言えません。誰にでもチャレンジの機会があり、努力した人がその分だけ報われるという「機会の平等」が望ましいと考えられています。


この学問が向いているかも 経済学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
経済経営学部 経済経営学科 教授
村田 啓子 先生

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メッセージ

 自分に自信を持って、広い視野でいろいろなことを楽しんで学んでください。受験は大変で不安もあるでしょうが、毎日の積み重ねが自らの力になります。自分の未来を切りひらく切符を手にするためですから、少しだけ辛抱してください。
 「経済」は、毎日の生活に欠かせない身近な問題です。賃金がなぜ上がらないのか、デフレの要因は何か、株価や為替レートが変動する理由は何か、日本おとび世界経済は今後どうなるのか、知りたいと思いませんか? 「経済学」は、誰にとっても重要で、一生役に立つ、とても面白い学問なのです。

先生の学問へのきっかけ

 昔から、理系では数学や物理、生物が好きで、文系でも法律、経済と学びたい領域はたくさんありました。「経済」は誰にとっても身近な問題ですし、将来社会に出て自分の可能性を広げてみたいと思い、大学では経済学部を選びました。高校生の頃から留学にも興味を持っていて、経済学は文系科目の中では世界共通の学問領域と当時考えていたことも理由の1つです。
 結果として、大学で経済学を学んだことにより経済政策に興味を持つようになり、大学卒業後は国家公務員になる道を選択しました。その経験も生かして、現在大学で教えています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁予算部門/官公庁社会福祉部門/国税庁国税専門官/IT関連営業・経営企画/金融営業部門/輸送機械メーカー経営企画

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村田 啓子 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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