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香川大学 創造工学部の教員による講義

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歴史的建築物を地震から守り、後世に残すためにすべきことは?

科学の力で、歴史的建築物の安全性を探る

 世の中には、超高層のビルや住宅、寺院や神社など、いろいろな建物があります。木や土、石といったその土地で取れる自然材料を使い、昔から伝わる工法で建てられた歴史的建築物は、大切な地域の遺産です。現在の建築基準から見ると効率的でなくても、その工法自体に文化的な価値があります。そのため、実験や現地調査によって、科学的にこれらの良い点や修理、補強の方法を探る研究が行われています。歴史的建築物は、その地域の人しか知らないものも多いため、住民や歴史の専門家と協力して、その価値を世の中に広めるとともに、後世に残すために耐震化も進めていく必要があります。

木造建築が意外と揺れに強い理由とは?

 古い木造建築は、地震に弱いと考える人もいるかもしれません。古い木造建築の2階で激しい動きをすると、建物が揺れて怖いと思うこともあります。しかし、柱と貫(ぬき)だけで壁がない架構を用いた実験では、地震と同じように横から押しても建物は変形しますが簡単には壊れません。実は建物が変形することによって地震の揺れのエネルギーを吸収しているのです。
 地震に対応する方法は、現在の建物と昔の建物とでは違う部分もあります。古い木造建築に対し、弱そうだからと鉄で補強すると、かえって木が傷むこともあります。その建物に合ったやり方で修理、補強していくことが大切なのです。

後世に残したい「幸せの国」ブータンの建築物

 伝統的な工法で造られた建物は、世界各地にあります。「幸せの国」として知られ、地震国でもあるブータンで、伝統的な工法で建てられた建物を研究し、地震から守るプロジェクトが進んでいます。伝統的なブータンの建物は、木枠の中で土を突き固めた版築(はんちく)の壁で造られています。地域の住民同士が協力して建築するので、場所によって強度や工法が違います。歴史の専門家とチームを組んでこれらの工法や建物の強度を調査し、より安全性の高い工法や修理、補強の方法を探る取り組みが続けられているのです。

参考資料
1:工学部HP用:教員研究概要
この学問が向いているかも 建築学、耐震工学


創造工学部 創造工学科 建築・都市環境コース 准教授
宮本 慎宏 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「建築学」という学問には、新しい建物をどんどん造っていく一方で、「古い建物をいかに活用しながら残していくか」という側面もあります。これからの時代は、古い建物の価値を見出して保存するだけでなく、活用する方法を考える人も必要になります。
 地域の人しか知らない古い建物の価値を見出し、地震で壊れないように耐震補強をして、活用しながら後世に残していく取り組みを担うのは、あなたたちの世代です。そのためにも、まずはあなたの周り、街の中にある古い建物、変わった建物に目を向け、興味を持って見てみてください。

先生の学問へのきっかけ

 父は建築の歴史の専門家で、母も建築関係の仕事に携わっていたため、子どもの頃から建築に興味がありました。家族旅行で訪れた街では歴史的建築物を探すのが恒例でした。
 かつて木造建築の研究はマイナーな分野でしたが、1995年の阪神・淡路大震災を機に、その耐震性が注目されるようになりました。大学時代、京都で歴史的建築物を見て回り、大学院修了後に設計事務所で寺院や住宅など歴史的建築物の耐震診断などに取り組みました。歴史的建築物を地震から守り、後世に残していきたいという思いが強くなり、研究者の道に進みました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

建築設計事務所/構造設計事務所/官公庁

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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