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講義No.08096

マンガやアニメの中に流れる中国人の精神

中国人のファンタジーの境界線

 1920~30年代にアメリカで生み出された何をされても死なない、現実にはありえない動きで笑いを誘うマンガのキャラクターは世界的な人気を博し、中国にも輸入されました。その際、表現に不思議なアレンジが加えられています。例えば「子どもが細い筒を使い2匹のトラを生け捕りにする」という描写が、捕まえるトラを1匹だけに減らされているのです。動物の擬人化というファンタジーは受け入れられるのに「小さな子どもが大きなトラを2匹も運ぶ」ことは受け入れられない、当時の中国人にはそういう「身体的なウソ」への抵抗感がありました。

アジア初の長編アニメは中国産!

 やがてハリウッドで盛んに作られ始めたアニメに刺激され、中国でも『西遊記』の人気エピソードを描いた映画『鉄扇公主』が製作されました。スタッフ自身、『ポパイ』を製作したフライシャー兄弟を意識したことは認めるところですが、ディズニーや『ベティ・ブープ』を彷彿とさせるキャラクターなど、アメリカのカートゥーン文化全体から影響を受けていたと言えます。また『白雪姫』への対抗心から、自分たちもお姫様(公主)を描こうという意図もあったようです。いずれにしてもこの作品はアジア初の長編アニメで、手塚治虫にも影響を与えたと言われています。

オリジナルアニメ作品は中国人の誇り

 現代の中国人は「身体的なウソ」への抵抗感もなくなり、日本人と同じようにマンガやアニメを楽しんでいます。模倣やコピーのイメージが強い中国ですが、オリジナルを作ろうという動きも時代ごとにあり、1961年には国を挙げ『オタマジャクシ、お母さんを探しに行く』という水墨画アニメが製作されました。2015年には『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』という3Dアニメが作られ、大ヒットしています。中国人も「パクリ」と批判されることへの反動があり、外国の影響を受けず独自で作ったことで、これらの作品に誇りを持っているようです。


この学問が向いているかも 中国文学、中国文化論

東京都立大学(旧・首都大学東京)
人文社会学部 人文学科 教授
佐々木 睦 先生

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メッセージ

 さまざまな大学の先生に話を聞いてみると、最初は今の専門とは違うことを研究しようと考えていた方が意外に多いのです。自分が本当にやりたいと思えることに巡り合うことは、それだけ難しいと言えるでしょう。
 しかしどんな場所でも新しい出会いがあり、「これだ!」というものが見つけられる可能性が眠っています。また学問はわからないことばかりでも、ある程度臨界点に達すると急に面白くなりますから、これだというものが見つかったら諦めずに続けてください。

先生の学問へのきっかけ

 大学に入学した頃は古代ミステリーが好きで、中国への興味はありませんでしたし、中国語も選択していませんでした。しかし大学1年生のときに受けた中国の神話を紹介する授業が面白く、掘り下げればもっと面白い話が見つかるのではないかと思いました。子どもの頃から『不思議の国のアリス』のような物語が好きでしたし、新しい文献が発見されたなら、いち早く自分の力で読んでみたかったのです。
 神話や近代の児童雑誌、マンガやアニメも含め、あらゆる創作物の中から中国人の想像力を知ることができたらと考えています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

建設会社総務部/地方公務員/大学院進学/出版社編集員

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佐々木 睦 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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