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講義No.08060

スポーツ選手をケガから復活させるための医科学的アプローチ

前十字靱帯断裂のケガとその治療とは

 スポーツ選手は、膝(ひざ)の前十字靱帯(じんたい)断裂というケガをすることがあります。靱帯とは運動中に関節がずれてしまわないように骨と骨をつないでいる繊維の束です。ジャンプの着地やターン動作の時に、わずかに姿勢がずれてしまうと、衝撃力が靱帯の耐えうる限界値を超えて、簡単に切れてしまうことがあります。靱帯が完全に切れると、通常は膝の裏の腱(けん)の一部を移植する自家移植手術を行います。ただ、これは靱帯が復活するための「足場」を置いている治療にすぎません。

手術後の経過と必要なトレーニング

 手術後の痛みや腫れは、2~4週間もすれば消え、直線方向なら歩いたり走ったりできるようになります。ところが、膝の中では、移植した腱はどんどん弱くなります。これは、組織が移植された腱を壊しながら吸収して再構築する段階に入るからです。このことを知らずにこの時期に練習を再開すると、いとも簡単に再び切れてしまいます。さらに時間が経つと再構築が進み、やっと2年程度で復活します。それでも手術前の7~8割程度の強さにしかなりません。
 ところが、スポーツ選手は2年も待てないので、半年をめどに復活をめざします。そのためには、手術部位に影響を与えないような医学的・科学的トレーニングが必要になります。

スポーツ選手の高度な要望に応えるために

 一般の人のリハビリの目標は日常生活への復帰になりますが、スポーツ選手はできるだけ早く復帰することはもちろん、できるならケガをする前よりも体力やパフォーマンスを向上させたいと考えます。このような高度な要望は、病院内での通常の治療やリハビリでは実現できません。人体の構造や運動を力学的に探究するバイオメカニクスに基づいた科学的なトレーニングや栄養学に基づいた適切な栄養摂取を指導することは元より、治療部位に特化した医療技術や細胞レベルの反応を深く理解し、医学的根拠に基づくリハビリやトレーニングを実施・指導できる人材が必要なのです。


スポーツ医・科学でケガから復活しよう! 

この学問が向いているかも スポーツ科学、スポーツ医学、バイオメカ

久留米大学
人間健康学部 スポーツ医科学科 教授
副島 崇 先生

メッセージ

 私は、ケガをしたスポーツ選手がどのようにして完全復活を果たすのか、また復活した選手がケガなく今後も選手を続けていくためにはどのような治療や予防が必要かということを医学的、科学的に研究しています。これらの研究は、病院だけでは果たせません。
 これからは、スポーツバイオメカニクスやスポーツ科学の知識だけでなく、医療技術者と同等の医学的知識をもあわせ持った人材が、トレーナーや保健体育教師などのスポーツ選手を支えるさまざまな職業の中に出ていくことが望まれます。ぜひ久留米大学で、一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 数十年前、靭帯移植治療を行うある医師の講演を聞いて感動しました。当時は、靭帯の手術後のリハビリといっても、いつから患者を歩かせればよいかという初歩的な議論がなされていた時代で、術後のリハビリで移植靭帯にどれだけの力がかかるかという科学的根拠はありませんでした。そんな時代に、その医師は実際に移植靭帯に計測器をつけてかかる力を測り、そのデータを治療に生かしていたのです。まさに世界に先駆けた研究でした。その科学的な姿勢に感動して、自分もそのような治療を行う整形外科の医師になろうと思ったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

実業団・プロスポーツ・日本代表チームなどのトレーナー/中高保健体育教師/ジム・スポーツクラブの指導・管理・経営者/医療機関/健康・福祉系施設/医歯薬系企業/市町村の健康福祉課/一般企業など

大学アイコン
副島 崇 先生がいらっしゃる
久留米大学に関心を持ったら

 92年の歴史と伝統を積み重ねた久留米大学には、文学部・人間健康学部・法学部・経済学部・商学部・医学部の6学部13学科、大学院4研究科そして20の研究所・センターなどがあります。「個性尊重、資格取得、地域貢献、国際感覚の育成、高度情報化への対応」を重視し、多くの優秀な教授陣が学生一人ひとりの能力を伸ばしながら、社会への適応力を育み、ゼミナールを中心とした授業で、教員と学生の触れ合いを大切にしています。文系・医系の両キャンパスに新たに教育・研究棟が完成し教育環境もさらに充実しました。

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