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講義No.08058

興味がつきない「ブラックホール」の不思議

ブラックホールは「穴」ではない

 宇宙にはすさまじい重力で周囲のものを引き付ける天体があります。「ブラックホール(黒い穴)」と呼ばれていますが、穴ではありません。光も吸い込んでしまうため、存在は目には見えませんが、ガスがブラックホールのまわりを回りながら、「角運動量保存の法則」に従って、平たい円盤状(降着円盤)になり、ガス同士の摩擦によって落ち込んでいく様子はX線によってとらえられます。ガスはブラックホールに近づくほど大きなエネルギーを獲得して高温となり、X線を放射するからです。

ブラックホールの大きさの謎

 重い星が死を迎え「超新星爆発」を起こすと、中心にブラックホールが誕生することがあります。これは「恒星質量ブラックホール」と呼ばれ、太陽の10倍から数十倍ほどの質量です。また、銀河の中心には太陽の10万倍から数十億倍の質量を持つ巨大な「超大質量ブラックホール」が存在することもわかっていますが、どうやって形成されたかは確証が得られていません。
 一方で、太陽の数十倍から数万倍の大きさを持つ「中間質量ブラックホール」は長年、見つかっていませんでしたが、近年候補となる天体が発見され、超大質量ブラックホール形成の謎を解き明かすカギになるのではと研究が進められています。

物理の法則で宇宙の不思議に挑む

 最近の研究で、2つの巨大なブラックホールが連星になっている事例もわかってきました。2016年2月、アメリカで初めて「重力波」と呼ばれる時空のゆがみが検出されましたが、これは13億光年のかなたで太陽の数十倍の質量を持つ2つのブラックホールが合体した衝撃が伝わったものと考えられています。
 将来、重力波の探査が宇宙でもできるようになったり、X線で連星の運動にともなう周期変動を探索すれば、もっと多くのブラックホールの連星が見つかるかもしれません。ほかにも宇宙にはダークマター(暗黒物質)やダークエナジー(暗黒エネルギー)といった、解明すべき謎が多く残されていて、物理の法則を用いて理論的な予測が行われています。


この学問が向いているかも 宇宙物理学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
理学部 物理学科 准教授
江副 祐一郎 先生

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メッセージ

 宇宙物理学は壮大なテーマに挑む学問ですが、根源的な物理学に結びついているところが大きな魅力だと思います。また自分で観測装置を開発して、新しい研究の道を切り開いていく面白さもあります。
 その意味では宇宙に興味がある人だけではなく、ものづくりが好きな人にもおすすめです。研究テーマは山ほどあり、どのようにアプローチするかは個人に任されています。国際協力が進んでいるので、世界中の人と一緒に研究できるのも素晴らしい経験です。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から星や宇宙について興味があり、ギリシャ神話も大好きでした。まだよくわからないことがある点や、話が壮大であることに興味を持ったのだと思います。それで大学で専門を決める時、天文や宇宙物理を将来の道として選びました。
 ものづくりも好きなので、天体の観測装置を研究し、自ら開発することにも没頭しています。装置の開発は地道で、「泥臭い」作業です。しかし、それを使っての宇宙探索は、自分が作ったもので、遠いはるかかなたの宇宙の謎を調べることができるというギャップがあって、とてもわくわくする研究です。

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江副 祐一郎 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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