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講義No.08044

針なし注射も可能に! マイクロバブルの潜在能力を生かせ

注射の欠点を補う「針なし注射」

 注射は、薬剤を体内に直接注入するため効果が早く安定している優れた医療技術ですが、一方で、患者の負担が大きく、感染症の危険性があります。それを回避するものとして期待されているのが「針なし注射」です。針を使わずに血管に薬剤を注入するには、何らかの方法で組織に穴を開けることが必要です。そこで注目されるのが、マイクロバブルの原理を応用した技術です。

電気メスの改良で微細な対象の穴あけが可能に

 出発点は電気メスでした。患者の背中に設置した対向電極と電気メスの間に高周波の電気を流して放電すると、メスの先端付近に電界集中が起こり高熱になります。その熱を利用して細胞を蒸発させ弾き飛ばして切開するのが電気メスです。電気メスを微細な対象で利用するには、電極を小さく細くすればよいのですが、そうすると電極が溶けたり摩耗したりという問題があります。
 そこで考えられたのが、電解質溶液である培養液の中で放電によって発生するバブルを利用するというアイデアです。電極の先端にガラスコーティングで隙間を作るとバブルが一方向に真っ直ぐに出ることが発見されました。小さなバブルを次々と作り出し、それが破裂することで微細な対象でも切開することが可能になったのです。

さまざまな応用技術が期待されるマイクロバブル

 バブルが発生、圧壊する現象を「キャビテーション」と言います。バブルは強い力を生み出します。船舶のスクリューは自ら発生するバブルで破損することがあるほどです。このように悪者扱いだったキャビテーションという現象を技術として用いることで、バブルが役立つ技術になることを示しました。
 針なし気泡注射は、この技術に薬剤がバブルにまとわりつく機構を追加して実現しました。また微細なバブルは細胞に穴を開けることができ、クローン技術での利用も期待されています。電源の出力を上げてプラズマ技術と組み合わせれば、硬い植物の細胞への穴あけや金属やカーボンファイバーの加工も可能で、さまざまな応用技術の研究が進んでいるのです。

針のない注射器の実現に向けた研究について

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針のない注射器のしくみ

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「小さいもの」の扱い方

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電気メスを改良しよう

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 機械工学

九州大学
工学部 機械航空工学科 教授
山西 陽子 先生

メッセージ

 勉強は本来、興味の対象があってそれを実現するために必要を感じて行うものです。必要性を感じていれば、文系、理系も関係ありません。また、いつから始めてもいいのです。
 今は、機械が専門だから機械だけやっていればいいという時代ではありません。もし自分にとって価値があると思えるものがあるなら、すぐに実行してほしいと思います。スピードも大切です。もし、まだ見つかっていないなら、アンテナを広げて発見してほしいのです。興味があれば集中できるし持続もできます。そういった対象を見つけてください。

先生の学問へのきっかけ

 小さい頃から、父が営む精密加工工場で、製造した小さなネジを選り分ける手伝いをしていました。間違うと不良品になるので注意深い作業が必要でした。そこで学んだのは、「小さいものには価値がある」ということでした。
 研究者になって、小さなメカをマイクロ流体の中で動かす技術で細胞の核を取り出す、細胞手術の研究を行いました。電気メスの小型化にも取り組み、その仕組みを発展させ、放電で生じるマイクロバブルを利用して穴をあけることに成功しました。この技術はさまざまな方面から注目され、新しい応用技術も生まれています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

メディカル機器メーカー/微細加工メーカー/精密機械メーカー

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山西 陽子 先生がいらっしゃる
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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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