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講義No.07960

両生類が持つ驚異の再生能力を解き明かす!

傷ついた組織を修復する再生能力

 人間はもちろん、脊椎動物から昆虫に至るまで、生物には破壊された組織を修復する再生能力が備わっています。その速度や程度は千差万別ですが、特に再生能力が高いのが両生類です。中でもイモリやサンショウウオなど、有尾両生類に分類される生物は高い再生能力を持ち、脳や心臓の一部を破壊されても再生できるという驚異的な能力を有しています。個体が成長し成体になってもその能力を維持し続ける点も特長のひとつです。

再生能力が失われるカエル

 一方で子どもの頃は高い再生能力を持っていながら、成体になるとその能力が落ちてしまう生物がカエルです。このメカニズムや要因については明らかになっていませんが、おそらくは成長にともなっていくつかの遺伝子の発現が抑制され、能力の低下につながっていくのではないかと考えられています。
 それでも、人間に比べれば高い修復能力を持っています。表層(表皮)の傷の場合、人間は傷口を完全にふさぐまでに1週間かかるところを、カエルの場合は半日足らずでふさいでしまいます。深層の組織(真皮)の再生にはさらに時間がかかりますが、ヒトならば傷あとが残るような深い傷でも元通りに再生してしまいます。

将来の人体への応用も視野に

 事象はわかってはいるものの、詳しいメカニズムの解析についてはいまだ未知の領域が大きいのが発生学の分野です。両生類の研究において最大の障壁となっているのがゲノム解読です。カエルの代表種でゲノム情報が解読済みなのに対して、有尾両生類のゲノムは未解読です。実はイモリなどの有尾両生類のゲノムはヒトの10倍以上の大きさで、ゲノム解読が進められていません。最新の次世代シークエンサー(DNA配列解析装置)をもってしても解読できず、可能になるのは次々世代以降の後継機の開発後と予測されています。ゲノム解読が可能になったときこそが、再生現象の理解が飛躍的に進歩する「ブレイクスルー」のポイントです。研究の進歩により人体への応用に向けた技術革新が期待されています。


動物の再生能力の不思議 ~両生類を例に~

この学問が向いているかも 発生学、分子生命科学

弘前大学
農学生命科学部 分子生命科学科 准教授
横山 仁 先生

メッセージ

 私の専門は動物の発生学です。「アフリカツメガエル」を使って、手足の再生のメカニズムを研究しています。生命現象に興味のある人、アイデア豊富で固定観念のない人はこの分野に向いているかもしれません。
 高校ではサイエンス全般をトータルで学び、さらに付け加えて好きな動物がいれば、それは将来的なアドバンテージになります。生命現象を解き明かす研究をぜひ一緒に行いましょう。

先生の学問へのきっかけ

 生物好きが高じて現在の専門分野に進みました。少年時代は、カエルなどがいる場所に行っては捕まえて遊んでいました。そしてカエルの体の組織の作られ方に興味を抱くようになり、大学でもそういったことが学べる学部をめざしました。進学した東北大学在学中、発生学での大発見である「ヒトもショウジョウバエのような生物も体の作る過程はほぼ同じ」ということを学びました。大学院を出たあと、ワシントン大学でも発生について研究しました。現在は「アフリカツメガエル」を使って、再生能力のメカニズム解明に取り組んでいます。

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横山 仁 先生がいらっしゃる
弘前大学に関心を持ったら

 弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
 この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
 本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。

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