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講義No.07779

子どものこころの問題について

専門医の数が圧倒的に不足している

 不登校、対人恐怖、虐待、落ち着きがない、いじめを受けている、体重減少……など、子どもたちが医者に訴える症状も多様化しています。精神科に関わる、子どもの症例が増えているのです。
 また、例えば不登校の原因として考えられるものだけでも「適応障がい」「発達障がい」「うつ病」や「統合失調症」など多岐にわたり、それぞれ対応の仕方も細かく変わってきます。しかし現在、児童精神科専門医は国内に200名ほどしかいないため、正しい診断や治療がとても遅れているのです。こうした子どものこころの障がいに向き合う専門医を増やすことが大きな課題となっています。

自閉症の発症には多くの要因が関与している

 診断技術が向上し自閉症と診断される子どもは年々増えており、自閉症のような特性がみられる自閉症スペクトラムも含めると学童の1~2%という調査結果も報告されています。自閉症は、例えば糖尿病や脂質異常症などと同様で、多くの要因が関係している疾病です。
 複数の遺伝子の微妙な変化が発症に影響していること、また出生時の低体重や大気汚染など環境要因と関係があることがわかっています。脳の画像データから、脳内伝達物質のひとつであるセロトニンの機能障がいが、症状に影響していることも推察されています。

早期発見と継続した支援が求められている

 大人になってから自閉症と診断されるケースもあります。健常な人であれば周囲の雰囲気を判断しながらできる行動が、自閉症の人はとても苦手です。また、大人になるほど治療が難しくなります。新薬の開発も進んでおり、少しでも早い治療と療育(障がいのある子どもが社会的に自立することを目的に行われる医療と保育)が重要視されています。
 早期発見の場として期待される5歳児健診の実施や、その後の継続したサポートが欠かせません。予防から支援まで、学校や地域と連携した支援体制の構築が急がれているのです。


この学問が向いているかも 児童精神医学

弘前大学
医学部 医学科 教授
中村 和彦 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 学校生活にうまく適応できない子どもが増えています。社会に順応し関わっていけるように、少しでも早く見つけて対処すべきですが、子どものこころの専門医も不足していて、医療と教育現場のつながりも未成熟なのが現状です。子どもたちは救いを求めるサインを送っているのに、それを受け止める体制の整備がとても遅れているのです。
 子どものこころに興味を持っているなら、ぜひ児童精神医学の道に進んでほしいと思います。そういう若い人がたくさん出てきてくれることを期待しています。

先生の学問へのきっかけ

 以前のがん治療は、病巣を切除する手術が中心でしたが、手術以外の治療の研究がはじまったのが、ちょうど私が高校生の頃で、「自分もがんの研究をしたい」と思ったことが医学の道を志したきっかけでした。
 研修医だった当時、指導教官が、たまたま子どもの「自閉症」や「多動」などが専門の児童精神科医で、その先生が子どもたちのお母さんと面談している間、私がサッカーや鬼ごっこをしながら子どもたちの面倒を見た経験が、発達障がいのある子どもと接するスタートでした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

児童精神科医としてこころの病に悩む子どもたちの治療にあたっています。

大学アイコン
中村 和彦 先生がいらっしゃる
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 弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
 この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
 本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。

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