夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.07680

ウゴク日本語、ウカブ英語 ~言語にはそれぞれ癖がある~

瓶が洞窟の中へ浮かんだ――の意味は?

 海面に浮かんだ瓶が洞窟へ流れていく情景を想像してください。この情景を日本語話者は「瓶が浮かびながら洞窟に入っていった」と表現します。ところが、英語話者の多くは「The bottle floated into the cave.」(瓶が洞窟の中へ浮かんだ)と表現します。これは日本語話者の感覚ではおかしな表現ですが、日本語では不可能な表現が英語では可能になるのです。
 日本語では移動を表す文には当然、移動を表す動詞(この場合は「入る+いく」)を使います。しかし英語では、goやmoveという移動を表す動詞は使われていません。移動を表すのはintoという前置詞だけで、動詞はfloatedという瓶の様子(様態)を表す言葉で表現されます。

馬が丸太をすべすべに引きずった――の意味は?

 「移動」とは位置が変化することですが、今度は「状態の変化」を考えてみましょう。この場合にも、日本語と英語それぞれの「癖」のようなものが見えてきます。
 例えば、「馬が丸太を引きずって、丸太がすべすべになった」という丸太の状態の変化を表現するとき、日本語では2つの文に分ける必要があります。しかし英語では「The horses dragged the logs smooth.」(馬が丸太をすべすべに引きずった」と表現できます。この場合のsmoothには、「すべすべになった」という状態の変化の意味が含まれています。英語は動詞以外の言葉でも変化を表すことができる言語なのです。

言語の「癖」を知って、外国語の学習を

 2つの例で見てきたように、同じものや同じ情景を見ても、言語によって表現の仕方が違います。私たち日本語話者が話す英語について、「間違ってはいないけど、どこか不自然だ……」と英語話者に思われてしまうのは、こういった言葉の「組み立て方の違い」が関係しているのです。外国語を学習するときは、その言語の文法的な「癖」を知り、その癖が自らの母語とどう違うのかを知る必要があるといえます。

ことばの研究~目には見えない言語の仕組み

夢ナビライブ2017 大阪会場

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この学問が向いているかも 英語学、言語学

奈良女子大学
文学部 言語文化学科 ヨーロッパ・アメリカ言語文化学コース 准教授
今野 弘章 先生

メッセージ

 私の専門は、「言語学」「英語学」です。
 大学でこの分野の勉強や研究を楽しむためには、あなたが現在、高校で勉強している英語の知識が、重要な前提となります。そのため、今は高校での学びを大切にして、毎日の生活を送ってください。そして大学では我々教員たちと一緒に、知的に遊び、そして学問しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 専門は言語学の中の「英語学」です。英文法が好きだったので言語学を選んだのですが、その中でも「英語学」を研究しようと思ったのは、英語学を担当していた先生に憧れたからです。
 その先生の講義では、英語で書かれた言語学の論文を学生が訳して発表するのですが、内容をよく理解しないまま発表すると、「それはつまりどういうこと?」と質問が飛んできて、決して答えは教えてもらえません。
 そんなやり取りの中で、「こういうことだったのか」とひらめく瞬間があるのが楽しくて、もっと学問を深めたいと思い、大学院に進みました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学・高校教諭(英語)/国家・地方公務員/旅行会社総合職/食品会社総合職など

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今野 弘章 先生がいらっしゃる
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 世界に誇れる文化と歴史に包まれた静かな環境の中で、奈良女子大学は、時代や社会の要請に応え、女性の高等教育機関として、高度な学術研究に基づく教育環境を提供し、自立して社会で活躍できる女性人材を養成しています。

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