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講義No.07679

日本の「祭り」を研究することで見えてくるもの

宗教的なものから農業、鎮魂まで、目的は多様

 民俗学では祭りが研究対象のひとつになっています。全国で行われている祭りには、宗教的なものを含め、さまざまな目的があります。春の祭りで多いのは、予祝(よしゅく)と呼ばれるものです。今後の収穫などを願う、あるいは予め収穫をお祝いしてしまう祭りです。夏は京都の祇園祭や隅田川の花火大会に代表されるように、鎮魂や慰霊、疫病などの悪病退散が中心で、秋は豊作への感謝です。このように祭りは、さまざまな目的を持って行われているのです。文化庁が中心となって、国内で行われている33件の祭りを、「山・鉾(ほこ)・屋台行事」として、ユネスコの無形文化遺産登録をめざしています。

時代に応じて変化する祭りの姿

 実は、行われなくなってしまったり、存続の危機に立たされたりしている祭りもたくさんあります。戦争により建物などが失われてしまったことや、東京など都市圏への一極集中による人手不足、人間関係の希薄化などが原因です。県や市町村の文化財となっているような貴重な祭りも、例外ではありません。
 また、祭りは続いていても電柱や電線などの影響で、背が高い山車(だし)から神輿(みこし)に変更されてしまうケースもあります。江戸時代、あるいはもっと古くから続くような歴史ある祭りも、今のものは昔の祭りの姿とは全く違っているということも珍しくありません。神輿が有名な神田祭、山王祭、深川祭も昔は山車が中心だったのです。

祭り研究の方法とは?

 こうした祭りを研究するには、古文書、古記録を調べる文献調査をはじめ、記録映像を探したり、現場に行って昔の祭りを知る人から話を聞いたり、現在の記録を残したりといった調査が基本となります。政治や文学の調査などと比べ、史料が少ない場合が多く、調査は非常に大変ですが、祭りを切り口に当時の人々の生活や世相を垣間見られるので、好奇心旺盛な人には、やりがいのある研究テーマでしょう。


日本の祭りとユネスコ無形文化遺産

この学問が向いているかも 民俗学

武蔵大学
人文学部 日本・東アジア文化学科 教授
福原 敏男 先生

メッセージ

 私は日本民俗学や日本の文化史を専門にし、特に大きな街で行われている祭りを研究しています。こうした祭りには非常にきらびやかな山車(だし)やだんじり、曳山(ひきやま)、屋台、あるいはイルミネーションのように明かりが夜空を灯(とも)すものも多いです。
 各地の祭りを研究することによって、日本文化の多様性が見えてきます。外国文化だけではなく、日本の伝統的な文化にもぜひ、目を向けてみてください。

先生の学問へのきっかけ

 「民俗学」に興味を持ったのは、高校生の頃でした。
 私が高校3年生だった1975年は、日本の民俗学の第一人者ともいえる柳田國男の生誕100周年にあたり、民俗学への関心が盛り上がっていたことに影響され、民俗学に興味を持ったのです。
 また、母の実家が東京都大田区の大森で、その地域では海苔の生産など古い産業や文化が残っていたことも、きっかけのひとつでした。大学卒業後は大阪で学芸員として働き、食文化や祭りなど文化や風習の関東との違いを目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。

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福原 敏男 先生がいらっしゃる
武蔵大学に関心を持ったら

 武蔵大学は「自立」「対話」「実践」の3つの目標を掲げ、旧制七年制高等学校から続く伝統の少人数教育は「ゼミ・演習」というかたちで堅持されています。「ゼミの武蔵」ともよばれる本学では、経済・人文・社会の3学部すべての学生が、1年次からゼミに所属します。10数名の少人数で、学生が主体となって発表・討論を繰り返しながら学ぶ「ゼミ」は、知識を深めるだけでなく自主性やコミュニケーション能力を育むことができます。このようなきめ細かな教育により、「面倒見が良い大学」としても高く評価されています。

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