現代は自由に仕事を選べる一方で、終身雇用制が崩れ、仕事を失うことも珍しくない時代になりました。こうした不確実な時代を自分らしく生きていくための心理学の考え方の一つに「キャリア」があります。キャリアには、「外的キャリア」と「内的キャリア」があります。外的キャリアは、他人からも見えるキャリアで、会社員や公務員といった職業などです。一方、内的キャリアは自分の価値観・興味関心・得意な能力で構成されやりがいや働きがいなどを指します。長い人生を考える場合、社会情勢などにより価値が変化する外的キャリアに左右されないで、内的キャリアをしっかり見つめ、自分軸に基づいた未来を描き、大学選びや仕事選びをするのがいいでしょう。
内的キャリアは自分にしか見えないため、自分で見つけるしかありません。しかし、若い人の中には自分の内的キャリアを見つけられずに悩んでいる人がたくさんいます。高校生はもちろん、大学生も就職活動などをきっかけに悩むのです。内的キャリアを見つけるには、自分の生きてきた人生を振り返りながら考えることも大切ですが、いろいろなことに興味を持ったり、得意なことを伸ばしたり、憧れの人を作ったりするのもいいでしょう。また、友人や教師など、信頼できる人に聞いてみるというのもいいかもしれません。小説やアニメなどの本や映画がヒントになって、あなたの内的キャリアが見つかることもあります。
アメリカの心理学者クランボルツは、個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるとし、偶然のチャンスを人生設計に役立てる、「プランド・ハプンスタンス理論」を発表しました。ただし、偶然を自分の人生のビッグチャンスとして利用するためには、普段から内的キャリアを意識して、オープンマインドで生活する必要があります。「自分らしさ」を生かし、人生を豊かにするためには、内的キャリアがポイントとなるのです。
自分らしく生きるための心理学
心理学部 臨床心理学科 教授 小澤 康司 先生
私たちは誰もが自分らしく生きたいと願っているし、自分を生かせるような仕事に就きたい、素敵な生活をしたいと思っています。そのために大切なのは、自分が何をしたいのか、どんなことが得意なのか、そして大切にしたい価値は何かといったことをしっかり見つめることです。そして、社会の中で多くの人たちと協力しながら、自分や他者を生かせるように仕事をしていく必要があります。 これらに必要なことは心理学で学ぶことができます。この学びを通して、自分や周りの人たちの人生を豊かにしませんか。ぜひ、一緒に心理学を学びましょう。
エンジニアになりたくて大学で電気工学を学び、卒業後は自動車会社に入社し電装品の開発をしていました。働いているうちに、人間関係の重要さを実感し、「セルフコントロール」の本を読んで、自分の感情や考えを自分でコントロールすることが大切だと知ったことから、心理学に興味を持ちました。そして、31歳の時に、人を元気にする仕事をしたいと思い、会社を退職し、臨床心理学の大学院に入学しました。 将来の明確な夢がある人も、まだ迷っている人も、人間はやる気さえあれば、何歳からでも挑戦できると思います。
臨床心理士/公務員心理職/メーカー営業職・総合職/ IT会社技術職 ほか
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