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講義No.07560

「超伝導」研究のカギを握る、「超流動」とは?

容器から液体が流れ出す「超流動」

 液体ヘリウムを絶対零度(-273℃)に近い超低温にした時、容器から液体が外へ流れ出す現象が起きます。これを「超流動」と呼びます。どういうことかと言うと、超低温のもとでは、液体や気体の粘性、つまり結びつこうとする力がゼロになってしまうのです。粘性がゼロになると、気体や液体が拡散してしまいます。このように、物質は、ごく低温にすると、常温の時とは異なる物性(ものの性質)を示すことがあるのです。

超低温を作る技術

 通常、気体は冷却すると液体になり、さらに固体になりますが、物質によっては気体のまま超低温にすることが可能です。気体から液体に変わる温度(沸点)は、圧力によって変動するので、圧力を調節しながら冷却するのです。
 超低温に冷却するには、高い技術が必要です。冷却とは、言い換えれば物質の運動エネルギーを奪うことです。つまり、物質の分子が動かなくなるほど温度は下がります。近年では、レーザーで分子の動きを止めて冷却する「レーザー冷却」という方法が開発され、非常に低温の状態を作り出すことができるようになっています。こうして作られた「冷却原子気体」と呼ばれる特殊な気体を利用し、さまざまな研究が進められています。

「超流動」から「超伝導」を探る

 超流動と類似した原理の現象が、金属などの固体でも起こることがあります。超低温下で電気抵抗がゼロになる、「超伝導」です。この物性を利用することで、リニアモーターカーやMRI(核磁気共鳴画像)などの新しい技術が開発されています。超伝導は、比較的高温の状態でも起こることがありますが、実は、なぜそういうことが起こるのか、科学的には解明されていません。
 超伝導は、実験・理論ともに非常に複雑な状況を扱う必要があります。その一方で超流動の実験では、冷却原子気体で原子が規則的に並んでいる状態を人工的に作り出せるため、理論と実験の整合性が得やすいという利点があります。超流動を調べることで、超伝導現象の解明につながることが期待されています。


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この学問が向いているかも 物性物理学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
理学部 物理学科 准教授
荒畑 恵美子 先生

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メッセージ

 身近に起きるさまざまな現象について、「なぜこうなるのだろう?」と疑問に思う人は多いでしょう。物理では、そういったことを、とことんまで突きつめられるかどうかが大事なのです。私は、高校の理系科目の得意・不得意は、実はあまり関係ないのではないかと思っています。私も高校の時、理系科目は苦手でした。もしあなたが、物理は好きだけれどもそのほかの理系科目が苦手だからという理由で、進むのをためらっているなら、それは思い込みかもしれません。
 自分の頭でとことん考えること、それが研究には一番重要な要素だと考えています。

先生の学問へのきっかけ

 高校の物理の先生が面白い方だったこともあって、高校の頃から物理は好きでした。始めは、宇宙に興味があって、「宇宙を研究するなら物理学だろう」と考えて物理学科に入りましたが、大学で物性(物質の性質)について学ぶうち、超伝導やレーザー、磁石など、身近にある物理の面白さに夢中になりました。物理では、実験したことを理論で証明し、理論を実験で確かめるということが大切です。実験結果をきちんと理論で裏打ちでき、かつ、理論がとてもシンプルに理解できるというのが、物性の研究の一番の面白さだと感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

IT関連企業/システムエンジニア/自動車メーカー

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荒畑 恵美子 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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