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講義No.07553

一人ひとりの凜(りん)とした人生を支えるための「老人看護」

「老人看護」とは何か

 この領域は、老人看護と老年看護、ほかにも高齢者看護などの呼び方があります。老人看護と言う時は、「人を看る」という意味からです。「老年」「老年学」はもっと広い意味で、細胞レベルや、死生観など哲学分野も含まれます。老人を対象とする看護の背景には、多くの学問領域や考え方があるのです。
 日本では病院機能が、急性期を対象とする医療に戻ろうとしているので、老人は介護の対象として分類される傾向にあります。しかし看護の観点からすると、老人の健康は急性期も元気なときも、いつでもそれを護る支援が必要です。看護師も専門家として、高齢になっていく人たちがどんな人生を送りたいのかを知り、一人ひとりが凜(りん)とした生き方ができる社会を、一緒につくっていく役割があるのです。

老人看護は意外に新しい分野

 人間が年を取ることに社会全体が意識を向け、本格的な研究が始まったのは、実は戦後からです。世界中に戦後生まれの団塊の世代がたくさん登場し、そこから、社会学や医学が研究され、発展しました。平均寿命も50年だった時代からどんどん延び、1990年代から大学のカリキュラムでも成人看護から老人看護が独立しました。このように老人看護は意外と新しい分野なので、ニーズは大きいものの、研究自体、まだまだ未開の学問分野です。

お年寄り像は時代とともに変化している

 「65歳」は世界中で人口動態を比較する基準の年齢ですが、同じ65歳でも、10年前の65歳の人と今では生活も考え方も変化しています。また、老人を取り巻く地域全体も変化してきました。老人看護ではさまざまな社会調査に触れ、常に今の人たちがどんな生き方をしているのかを探る必要があります。
 また、看護は寝たきりや身体の不自由な患者さんはもちろん、元気な高齢者も対象です。最新の医学から最善の療養法を調べたり、逆に元気なお年寄りからその秘訣を学ぶことも、看護の重要なスキルとなります。
 新しい時代にどれだけ敏感でいられるかが問われ、それが老人看護の醍醐味とも言えるでしょう。


この学問が向いているかも 老人看護学

高知県立大学
看護学部 看護学科 教授
竹崎 久美子 先生

メッセージ

 「老人看護学」と言うと、寝たきりや身体の不自由なお年寄りの看護をイメージするかもしれません。実際に日本で、そういう看護を必要とするお年寄りは2割弱です。あとの8割は、元気で生活をされています。もっと元気に、いい生活・いい人生を送ってもらうことも、老人看護学の大事な専門分野です。
 普段の生活で生きがいを見いだしたり、病気と上手につきあって生きていくために、看護は応えていけます。お年寄りとの会話が好きなあなた、ぜひ、看護の道とその中でも老人看護の道を選んでください。

先生の学問へのきっかけ

 受験対策でいろいろな資料を読んでいるうち、地域全体を元気にする「保健師」という仕事を知り看護の道は広いのだと驚きました。恵まれていたのは、地元の高知県で保健師活動がとても盛んだったことと、日本で最初に4年制の看護教育を始めた高知県立大学の前身の高知女子大学があったことです。看護を学び、自分の専門領域を決める時、同居していた明治生まれの祖母の生き方を思いました。高齢者のケアなら自分がコミットメントできる、そう思えたのでこの領域を選びました。時代的にも「老人看護」が全国的な課題になってきた頃でした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

総合病院老人看護専門看護師/急性期病院認知症認定看護師/リハビリテーション専門病棟看護師/在宅療養支援事業所所長/ケアマネージャー/市町村保健師

大学アイコン
竹崎 久美子 先生がいらっしゃる
高知県立大学に関心を持ったら

 高知県立大学は、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部で構成しています。高知県は全国と比較して、高齢化で10年、人口減少で15年も先行しています。少子高齢化社会や南海トラフ地震対策など山積する課題を乗り越えて、未来の社会をどう形成するかに、学生と教職員は真剣に取り組んでいます。全学生が地域で活動し、地域の人々とともに学びあう教育に力を入れており、卒業後には、学部で身につけた専門知識を生かして地域で活躍できる人材となることをめざしています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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