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講義No.07540

ブラック企業をなくすためにすべきこと~労働法の視点から~

企業コンプライアンスとは?

 コンプライアンスとは「法令遵守(じゅんしゅ)」、すなわち社会のルールを守ることで、企業コンプライアンスとは、企業が法律・法令を守って企業活動を行うことです。しかし残念なことに、法律を守らない企業もあるのが現実です。例えば、「ブラック企業」と呼ばれる企業があります。働く人の健康や命を脅かすような働き方を強いる企業のことです。労働者が長時間労働の末に自殺したり、過労死したりする事件も起こっています。企業コンプライアンスを徹底し、労働法が遵守されていれば、こうした事態は避けられたはずです。

企業に「安全配慮義務」を徹底させるために

 企業には「労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべき」という「安全配慮義務」が課せられています。長時間労働の強制はもちろん、放置しているケースでも安全配慮義務違反が問われ、裁判でも企業に多額の賠償金の支払いが命じられています。しかし、それでも過労死や過労自殺がなくならない現実があります。そこで近年、会社だけでなく、業務執行を行う取締役などの経営陣にも損害賠償責任を認めるケースが増加しています。自分たちも賠償責任を負うとなると、経営者はきちんとした安全配慮義務履行体制の構築に真剣に取り組むはずです。つまり取締役に労働法の遵守を促すことで、企業コンプライアンスの徹底が図られることが期待されるのです。

労働者・企業・社会の利益を守る

 しかし、安全配慮義務の内容が適正に示されないと、会社や経営者が萎縮し、企業活動への意欲が損なわれる恐れもあります。それは経済活動にとってもマイナスです。労働法とは、労働者を保護することはもちろんですが、同時に企業の利益も尊重し、社会全体の活力の向上に寄与するものでなければなりません。
 そのためには、企業側がどのような体制を構築すれば、安全配慮義務違反に問われないのかを示す必要があります。安全配慮義務の中身を適正に示すことは、労働法研究の重要な課題のひとつなのです。

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この学問が向いているかも 法学

首都大学東京
法学部 法学科 准教授
天野 晋介 先生

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メッセージ

 私は「労働法」を専門に研究しています。労働法は働く上での「ルール」です。会社、労働者、そして社会全体の利益を考慮して設定されるものです。
 皆さんの多くは、大学を卒業した後、民間企業で働くことでしょう。また、自ら起業する人もいるでしょう。労働法を理解することは、実際に働く労働者にとって重要なのはもちろんのこと、労働者を働かせる会社にとっても重要です。労働法の理解を深めておくことは、雇用社会のメンバーとして必須です。興味を持った人は、ぜひ勉強してほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時は、漠然と法学部に入りたいと思っていました。法学部に入ってから私は司法試験の勉強に取り組んでいたのですが、2年生の時、友人と一緒に入ったゼミが労働法のゼミだったのです。労働法というのは、労働者を守るとともに、企業の利益も尊重し、同時に社会の利益についても考える必要があります。労働者、企業、社会のそれぞれの利益をどう調整するのかという労働法の課題が、私にはとても温かみのある、「生きた法律」に感じられました。あの時、労働法のゼミを選んだことが、今日までの研究の道につながったというわけです。

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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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