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講義No.07539

労働者を守り、社会のあり方を考える「労働法」の研究

「労働法」とは何か?

 社会で働くときは、労働者が労務を提供し、それに対して使用者が報酬を支払うという「労働契約」を結びます。民法の原則では、社会生活上の契約は当事者間の合意で自由に設定できるので、労働時間も賃金も両者で決めてよいことになります。しかし労働者と使用者には格差があり必ずしも対等な関係ではありません。労働者は、使用者の指揮命令に従うことが求められますし、経済的にも使用者に従属せざるをえません。また、労働者は個人ですが、使用者は会社という組織であることが多いため、交渉力などの点で格差があります。このため、労働契約が労働者にとって不利にならないように、法律で契約の内容を規制するのが「労働法」です。

労働者を保護するのが目的

 日本の労働法では、労働時間・報酬などについて規制が設けられています。労働時間は、原則として1日に8時間、1週間に40時間まで、それを超える場合は割増賃金が支払われます。また、報酬は国が定めた最低賃金を下回ってはいけません。こうした規制は、正社員だけでなく、派遣社員、パート、アルバイトなどの非正規社員にも適用されます。労働法は多くの人にとって最も身近な法律といえるでしょう。

労働法を研究することの意味とは

 労働の内容は時代によって変化します。近年、生活や価値観の多様化で労働者毎に、希望する働き方も異なってきました。いわゆるワークライフバランスの問題です。特に少子高齢化社会を迎えて育児・介護をしながら働きたいという人にとってふさわしい労働時間規制が必要です。一方で、時差のある海外との取引や、長時間の実験が必要な研究・実験現場などでは、労働時間の規制によって「仕事が進まない」「いい仕事がしたいのに、時間がなくてできない」といった事態が生まれ、働く意欲と生産性の低下につながりかねないのです。
 このような場合に、労働法をどう解釈し、どのように運用するのか、さらにどのように見直すのが労働者や会社、ひいては社会全体にとってよいのかを研究するのが、労働法という学問なのです。

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首都大学東京
法学部 法学科 准教授
天野 晋介 先生

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メッセージ

 私は「労働法」を専門に研究しています。労働法は働く上での「ルール」です。会社、労働者、そして社会全体の利益を考慮して設定されるものです。
 皆さんの多くは、大学を卒業した後、民間企業で働くことでしょう。また、自ら起業する人もいるでしょう。労働法を理解することは、実際に働く労働者にとって重要なのはもちろんのこと、労働者を働かせる会社にとっても重要です。労働法の理解を深めておくことは、雇用社会のメンバーとして必須です。興味を持った人は、ぜひ勉強してほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時は、漠然と法学部に入りたいと思っていました。法学部に入ってから私は司法試験の勉強に取り組んでいたのですが、2年生の時、友人と一緒に入ったゼミが労働法のゼミだったのです。労働法というのは、労働者を守るとともに、企業の利益も尊重し、同時に社会の利益についても考える必要があります。労働者、企業、社会のそれぞれの利益をどう調整するのかという労働法の課題が、私にはとても温かみのある、「生きた法律」に感じられました。あの時、労働法のゼミを選んだことが、今日までの研究の道につながったというわけです。

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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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