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講義No.07536

数学や物理を駆使して、「医学」に貢献する方法がある!

放射線治療で、患部の位置を正確にとらえる

 放射線によるがん治療では、患部に放射線を照射することで、がんの縮小や消滅をめざします。患部に放射線を当てる際には画像を見ながら位置を合わせ、ずれのないよう狙いを定めて照射する必要があります。エックス線検査で使われる放射線は10万ボルト程度ですが、がん治療で使われるものは600万ボルトにのぼります。がん治療で使う放射線は強いので、治療時に体のどこに当てているのかがわかりにくくなってしまいます。

腫瘍を見ながら照射するため、画像をシャープに

 今までの画像では照射する腫瘍(しゅよう)の位置は、ボヤッとしか見えないので、骨の位置を目安にしていました。また体内に金属のマーカーを挿入して位置決めをすることもありますが、最近の放射線治療は通院して行うスタイルに変わりつつあり、体の中にマーカーを入れたままにするのは無理があります。そのため、治療を行うたびに、画像を見ながら照射位置を特定する必要があります。
 そこで現在、研究が進められているのが、治療前や治療中にターゲットを正確にとらえるための画質の向上です。数式や確率などの数学を駆使して画像化プログラムを改善し、腫瘍をはっきりと視認しながら照射できるプログラムの開発が続けられています。

画像の処理速度アップで、患者さんの苦痛を少なく

 また画質向上と同じくらい重要なのが、処理スピードの高速化です。従来は、患部がはっきりと見えるレベルまで画像を処理するのに30分ほどかかっていました。しかし現在は、わずか7~8秒で処理は終了します。おかげで患者さんは、30分間も体位を保ったまま耐える必要がなくなりました。これは従来の乱数を用いて数万回の計算を繰り返して統計的に答えを出すモンテカルロ・シミュレーションという手法から、超並列計算などを駆使する手法に変えることで可能になりました。このように、数学や物理学を駆使して新しい技術を開発することでも、医学への貢献はできるのです。

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この学問が向いているかも 放射線物理学

首都大学東京
健康福祉学部 放射線学科 准教授
明上山 温 先生

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メッセージ

 実は私は、高校時代、数学がとても苦手で、テストでもよい点数をとったことがありませんでした。しかし現在はその数学を使った研究をしています。計算が苦手だったからこそ「自分でやらなくてもいいように、プログラムに計算させよう!」と考えたのです。
 苦手なことこそ芽が出ることがあるのかもしれません。高校時代には苦手なものや何の役に立つかわからないことにもチャレンジしてほしいと思います。大学に入るとその必要性がわかります。特に、放射線物理学の分野では高校の数学の考え方は必須です。苦手でも、努力を続けてください。

先生の学問へのきっかけ

 大学院で研究をしているとき、将来の進路について悩んでいました。臨床現場で診療放射線技師として働くという選択肢もあったのですが、自分の性格的に、「毎日何か新しいことに挑戦しながら生きていきたい」という思いが強くなりました。そこで、診断に使うための画像技術の研究をする道を選んだのです。画像は正確に認識できれば認識できるほど、医学の発展、診断技術の向上に貢献できます。プログラムやアルゴリズムなどに興味のある人、数学や物理を通じて医学の発展を助けたいという思いのある人は、ぜひ一緒に研究していきましょう!

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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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