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講義No.07500

「見えないコミュニティ」が、優秀な人材を育てる

誰もが政治に参加できるのはよくない?  

 人々はインターネットでのコミュニケーションに依存しているおかげで表面的には孤独を感じず、特別な嗜好を持った人も仲間を見出せるようになりましたが、逆に相容れない人間との分断化が進みました。誰もが参加できることは民主主義の理想に思えますが、分断化された人々が政治への参加権を持っても、排外主義にとらわれたり、攻撃的なニュアンスを含んだメッセージにあおられます。さらに理性的な議論がないがしろにされ、「声が大きい人の勝ち」の状況に陥りやすくなります。

「声が大きい人」の暴走を止めるには

 自分の意見を強引に押し通そうとする「声が大きい人」に主導権を持たせないためには、正しく運営された「ソーシャル・キャピタル(人々の「信頼」「規範」「ネットワーク」といった協調行動を活発にする社会組織)」により意見をまとめることです。2000年代半ばから行われている「熟議(協働をめざした対話)」などがよい例で、匿名化を排除し、偏見を取り払った状況下では独りよがりな意見はいさめられ、同性婚や差別など極端化しやすい問題はマイルド化します。一方、集団内の立場のある人が理解を示すことで、意見が通らなかった人の不満も解消できます。

インターネットから隠れたコミュニティを作る

 以前は地域や企業がソーシャル・キャピタルの役割を果たしていました。しかし地域は空洞化し、グローバル化にさらされた企業もソーシャル・キャピタルを維持するコストを割けなくなった今、代わりとなる環境を作るには、濃密な人間関係を、あえてインターネットから見えなくする必要があります。シェアハウスも住人をインターネットで募集すると問題が起こりやすい一方、紹介制にすれば円滑な人間関係を保てます。インターネットから見えない形で作られたコミュニティは、腹を割って話せるようなクオリティの高い関係性を構築できます。またそうした環境なしには政治や経済の主力を担う人材をコミュニケーションを通じて養成するのが難しい時代になっているのです。

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この学問が向いているかも 社会学

首都大学東京
人文社会学部 人間社会学科 教授
宮台 真司 先生

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メッセージ

 「感情の劣化」は日本に限ったことではなく、今や世界的な問題となっています。すべてはインターネットがもたらした、「自分が見たいものだけ見る」というメンタリティにあります。ですから「感情の劣化」をキーワードにすれば、宗教や政治、教育、犯罪など、さまざまなことが説明できるのです。
 日本の国内でさえ知らないことはたくさんあります。いつまでも「見たくないもの」から目を背けていると、自分の中に眠っている可能性に気づかないまま、生涯を送ってしまうかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 学生時代は映画やドキュメンタリーを制作する仕事に就きたいと考えていました。でも就職活動ができない事情が生じて、仕方なく大学院に進むと、「社会を知らないのに社会学をやっている人」が多いことに気づきました。「学問が無知を覆い隱す道具に過ぎないのは良くない」と考えた私は、卒業論文で扱った理論社会学と並行し、社会で起きていることを調査する市場リサーチ会社を友人と起業しました。そうして確立したのが今のスタイルです。もともと子どもの頃から友だちを作るのは得意で、それが取材やフィールドワークに役立っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

テレビ局やラジオ局のディレクター/広告代理店の営業マンやクリエーター/シンクタンクのデータ分析者/出版社の編集者/大学の社会学教員/商社の海外営業/通信教育会社の企画職や編集職

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宮台 真司 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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