夢ナビ 夢ナビ

検索結果一覧へ戻る

講義No.07374

「ハイブリッド型人工肝臓」の作り方とその仕組み

肝臓の働きには、東京ドーム以上の工場が必要

 肝臓は人体で最も大きな臓器です。機能は大きく分けると「代謝・解毒・排泄」の3つですが、細分化すると約500種類もあります。もし肝臓の機能を人工的に作るとしたら、一人の肝臓でも東京ドーム以上の広さの工場が必要になります。
 しかしiPS細胞研究の進展によって、細胞から人工肝臓を作ることが可能になっています。培養したヒトの肝幹細胞と、酸素と栄養を送り込む装置とを組み合わせた「ハイブリッド型」のコンパクトな人工肝臓を体外に設置することによって、肝臓に近い組織を作り出すことに成功しています。

未分化な胎児の肝幹細胞から肝臓組織を作る

 肝臓は一部を切り取った場合、体内では再生しますが体外では培養できません。これは、大人の細胞は分裂スピードが極端に遅く、また現段階では肝臓が再生する環境が完全にわかっていないためです。ただ未分化な胎児の肝幹細胞を使えば、肝臓の機能を持たせることができます。肝幹細胞とは肝細胞を作り出す元の細胞です。
 肝臓の構造は、立体的な組織の中に、腸から栄養を運んでくる門脈と、肺から酸素を運んでくる動脈が複雑に絡み合っています。これを中空糸というストロー状の糸で再現して、同じような構造を作り出しています。これによって、高密度な細胞を再生することができます。

立体的に培養すると機能が生まれる

 面白いのは平面ではできないのに、立体的に細胞を培養すると肝臓の機能が生まれることです。肝臓の主要な機能である解毒能力を見ると、平面で培養した場合に比べ、立体的な培養のほうが格段に向上します。臓器としての寿命という点でも、これまでは3週間程度が最高でしたが150日を実現しています。
 しかし、現在の課題は500ある機能のうちの10以下しか再現できていないことです。本物の肝臓により近づけるには、肝臓が機能するための環境の究明、遺伝子発現のメカニズム、血管やほかの臓器とつながる器官も再生することが必要なのです。


この学問が向いているかも 応用生命科学

崇城大学
生物生命学部 応用生命科学科 教授
松下 琢 先生

メッセージ

 私は細胞から組織を作る研究をしていて、それを肝臓に応用しています。考えてほしいのは、私たちの遺伝子は99.9%同じで、誰でも同じように才能を持っているということです。
 その才能を開花させるには、努力が必要です。努力するには、夢を持つことが大事です。「将来こういうことをしたい」とかなんでもいいので、夢を持って努力すると必ず開花します。出会いも大切です。よい先生や友人との出会いは、あなたに夢を実現するきっかけを与えます。大学でぜひ、あなたの夢を実現してください。

先生の学問へのきっかけ

 農学部で微生物の研究をしていました。ところが、博士の学位を取得して最初に赴任した学部が工学部だったので、動物細胞や植物細胞のバイオテクノロジー研究を行うことになりました。赴任するとき、大学の恩師から「動物細胞は微生物と違い、多細胞で組織を作っている。動物細胞の研究をするのであれば、3次元の組織の研究をしなさい」と言われました。
 その後、ネズミの肝臓を細胞レベルまでバラバラにして、ポリウレタンフォームというスポンジの中で培養すると、自発的に3次元の組織のようなものを作ることを発見して感激したのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院研究部の研究員/国立研究所の研究員/化学企業の技術者/製薬会社のMR/食品会社の技術者/中学校の理科の教員/医療機器メーカーの販売員/薬品販売会社の販売員/市役所・役場の公務員

大学アイコン
松下 琢 先生がいらっしゃる
崇城大学に関心を持ったら

 崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる