夢ナビ 夢ナビ

TOPへ戻る

講義No.07370

人の認知機能の不思議を解き明かす「認知心理学」

認知心理学とは何か?

 人間がどのように感じているか、人間の「認知」に関するさまざまなことを研究するのが認知心理学です。例えば、アニメの声や外国映画の吹き替えの声にイメージと違う声だと違和感を覚えることがあるのはなぜか? 絵画を見て心が癒やされるのはなぜか?など、その研究対象は多岐にわたります。

現象をとらえ、実験を通して分析する

 例えば、図形などをちらっと見た時には、それが何か認識できるのに、じっと見つめていると全体的印象が失われ、それが何であるかわからなくなってしまう失認症の症例が「ゲシュタルト崩壊」という言葉を用いて報告されています。漢字を用いている日本人の中には、実はこれほど極端ではないけれども同様の経験をしている人が少なくありません。心理実験では、いろいろな条件をそろえて実験計画を立て行動特性を測定し統計的分析を行いながら、このような日常生活で起こる現象を検討します。

持続的な注視により認知機能が低下する

 漢字のゲシュタルト崩壊を実験的に調査しました。特定の漢字「貯」(以降順応漢字と呼ぶ)について、「全く同じ漢字〈貯〉」「構造は同じだが部分的には全く違う漢字〈訴〉」「構造は異なるが同じ部分を含む漢字〈賃〉」「構造も部分も違うが読みだけ同じ漢字〈著〉」の4種類の形態条件で、画数や使用頻度はある程度そろえたテスト漢字を選出するところから始めました。順応漢字を見た後、テスト漢字が提示され、それを声に出して読むことが被験者に求められます。文字が提示されてから読むまでの時間を測定し、順応漢字を短時間(1秒間)見た場合と、長時間(25秒間)見た場合の反応時間を比較することで、ゲシュタルト崩壊現象を数値化しました。順応漢字を長時間見ると、全く同じ漢字〈貯〉と、構造が同じで部分が異なる漢字〈訴〉で反応時間が遅れることがわかり、持続的注視による認知機能低下が検証されました。この現象は、部分を統合し全体形態を把握する認知の高次過程で機能低下が起こるために生じるのではないかと考えられています。


この学問が向いているかも 認知心理学

東北工業大学
ライフデザイン学部 経営コミュニケーション学科 准教授
二瀬 由理 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 何事にも一生懸命取り組むことが大切です。勉強でも、遊びでも、なんでもかまいません。これが何の得になるのかと考えたりせずに、まずはやってみることです。その時には役に立たなくても将来想像もしない形で役に立つこともあると思いますし、もし役に立たなくてもその経験がいつか糧となるはずです。また、さまざまなことに取り組んでいる間にたくさんの人との出会いもあるでしょう。損得を考えずに何かをするというのは、若い時だからこそできる特権です。大人になってからのやり直しは大変ですが若い時ならやり直しもきくのですから!

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃、刑務所の様子を紹介するテレビ番組を見て「刑務所で働きたい」と思い、犯罪心理学という学問があることを知りました。そして大学では文学部の心理学科に進みましたが、大学で学んだのは人間を対象に実験を行い、その結果を分析することで人間の持つ情報処理能力を明確にしようとする「実験心理学」という学問でした。
 この領域の勉強を始めて、自分が生活の中で疑問に思っていたことを、心理学者たちが精緻な実験計画を立て、その結果を踏まえて疑問を解明していることを知り、実験心理学の研究に夢中になっていきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員/企業の人事/システムエンジニア/企業の営業

大学アイコン
二瀬 由理 先生がいらっしゃる
東北工業大学に関心を持ったら

 本学では、「創造から統合へ」をユニバーシティスローガンに掲げ1964年の創設以来、3万人を超える卒業生を輩出し、日本の、とりわけ東北地域の産業・経済の発展に大きく貢献してきました。自然に囲まれた豊かな環境でありながら、仙台市街地にも近く利便性の良い 「八木山キャンパス」「長町キャンパス」の両キャンパスで創造的な思考を学ぶべく、最先端の環境を整え、学生の期待と意欲に応えるカリキュラムを用意しております。
 進化し続ける学びのステージ。それが東北工業大学です。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる