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講義No.07342

もっとも多い国際結婚のパターン~日中国際結婚の真相を見る

なぜ中国人女性は日本に嫁ぐのか

 アジアにおける「移民の女性化」の流れでは、結婚もまた女性移民の方法の一つです。中国人女性の日本への移動は、留学や仕事や技能実習生とともに、日本人男性との国際結婚という形で行われることもあります。これは、中国で「改革開放」政策が開始されてしばらくたった1980年代終わりから始まりました。当初は、外の世界を見たいという願望が強い都市部女性にとって、国際結婚は限られた方法の一つだったのです。両国の交流が進む中で留学や駐在員として相手国に居住して、結婚相手を見つける「文化交流型」の国際結婚も増えています。さらに、21世紀の最初の10年間、中国東北部の農村の女性などが日本に嫁ぐ、経済格差を原因とする「南北型」も増加しました。

国際結婚をする、双方の事情とは

 「南北型」結婚について言えば、東北地方の農村部は、経済発展の速い東南部に比べ発展が遅れていたため、同地域の女性たちは、豊かさを求めて都市部に出稼ぎに行ったり、国際結婚をして日本や韓国に移住したりする人がいます。東北部に多い理由は、かつて日本の植民地で残留孤児や残留婦人が多く、日本の情報が入りやすいという背景があります。一方、結婚相手の日本人男性側は、農村や地方に住むさまざまな事情を抱えて、女性よりかなり年上で、日本人同士の結婚をしなかった人も少なくありません。

日本人に求められる異文化を受け入れる意識

 このような国際結婚は、仲介業者が正確な情報を提供しないこともあり、うまくいかないことがあります。長く続いたとしても女性側に我慢を強いる場合が少なくありません。これは単に情報提供の問題ではなく、日本の受け入れ体制に原因があります。例えば、言語の習得はボランティア頼りで、社会になじむのに時間がかかります。また特に農村部は「嫁」を迎えるという固定観念が強く、自分たちの文化を押しつける傾向があります。日本は異なる文化と付き合う経験はまだ少ないので、それが「仲介型」国際結婚がうまくいかない大きな原因となっているのです。


この学問が向いているかも 社会学、移民研究

長崎大学
多文化社会学部 多文化社会学科 准教授
賽漢卓娜 先生

先生の著書
メッセージ

 国際結婚を含む移民とエスニシティを研究しています。私の出身国・中国には漢民族のほか55もの少数民族がいて、異文化と接するのは日常茶飯事です。日本にも異なる文化を持つ人たちはいます。そのような人を「外の人」と区別するのではなく、もっと外に視野を広げてください。多方面の視点から考えることは、人生に深みを与えます。
 マスメディアの情報に踊らされたり、「空気を読む」といった日本独特の気配りをしたりするのではなく、自分の感性と行動力で文化を発見したり、感じたりして、自分自身の考えを持ってほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 私は北京で生まれ育ったモンゴル民族で、家は56の民族の教師と学生がいる中央民族大学にありました。就職した政府機関でも少数民族の担当だったので少数民族「エスニックマイノリティ」の状況や帰属意識「エスニシティ」に興味をもちました。そして来日して社会学を学び、国際結婚をした女性たちの海外への移住過程を「移動」と「家族」というキーワードで研究するようになったのです。女性はなぜ故郷を離れるのか、異国でどんな家庭を築くのかなどは、社会学、移民研究、ジェンダー研究の知識を駆使して研究できる興味深いテーマです。

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賽漢卓娜 先生がいらっしゃる
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 長崎大学は、出島を介した『勉学の地』としての誇りと『進取の精神』を受け継ぐとともに、宗教や科学における非人道的な負の遺産にも学び、人々が『平和』に共存する世界を実現するという積極的な意志の下に教育・研究を行います。そして、蓄積された『知』を時代や価値観を越えて継承し、人類を愛する豊かな心を育て、未来を拓く新しい科学を創造することによって、地域と国際社会の平和的発展に貢献します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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