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講義No.07292

経済学で生物多様性を守る - 環境の価値を測る

生物多様性が失われて環境問題となっている

 生物多様性とは、地球上の生きとし生けるものすべてのことです。我々の日常生活は、この生物多様性に依存しています。我々が呼吸して生きていくためには、植物の光合成による酸素が必要です。日々の食料は、野菜から肉まで、ほとんどが生きていたものです。この生物多様性が、現在、急速に失われていて、深刻な環境問題となっています。

生物多様性には守るべき価値がある

 生物多様性には価値がないように思われていた時代がありました。例えば、特別にきれいな森林なら、観光地や自然公園として、とっておく価値があると考えられていました。しかし、見た目が平凡な森林なら、木々を伐採して、工場を建設すれば、工業生産による収入が得られるので、とっておく価値がないと考えられることがありました。しかし、現在では、生物多様性には守るべき価値があるという考えが、広まってきました。その結果、森林が平凡なものでも、木々を伐採しないで、とっておいた方がよいと考える人が増えてきました。仮に、森林を守るためなら、100円を支払ってもいいという人が1万人いたとしましょう。そうすると、その森林の価値が、100万円であると考えることが可能です。一方、森林をなくして、工場にした時の収入が、50万円だとしましょう。そうすると、50万円の収入より、100万円の価値を選ぶのが合理的だ、ということになります。

経済学で環境の価値を測って正しい判断をする

 経済学は、1970年ごろから、生物多様性を含む森林や環境一般の価値を測る手法をあみだしてきました。これによって、「森林を守るべきか、それとも、工場を建設すべきか」という問題に関して、感情的にではなく、価値の数値を比べて、合理的に判断できるようになりました。環境の価値は実際に測ってみると、意外に大きく、これにより、破壊が保全に変えられる傾向がでてきました。経済学が生物多様性を救っていると言えます。経済学は、無味乾燥なものではなく、このように、環境を守ることができるのです。


この学問が向いているかも 環境経済学、開発経済学

山梨大学
生命環境学部 地域社会システム学科 教授
渡邊 幹彦 先生

先生の著書
メッセージ

 私は、経済学の立場から、生物多様性を研究しています。生命環境学部は、文理融合の学部なので、私が所属している地域社会システム学科に入学すると、経済学をきちんと勉強した上で、環境問題である生物多様性をどうしたらいいかをしっかりと学ぶことができます。この興味深いテーマを幅広く学べる生命環境学部で、一緒に勉強してみませんか。あなたの入学を待っています。

先生の学問へのきっかけ

 熱帯林が、多くの生物のすみかになっていたり、温暖化を防いだりしていることを知り、「森林」から、「生物多様性」という生物全般に研究範囲を広げるようになりました。
 生物多様性の研究がとても興味深いのは、私たちの生活と直結している点です。大自然の中にあるものから、これまでなかったような医薬品が開発され、治らなかった病気が治るようになることがあります。また、森林は、土砂崩れを防いでいるので、堤防と防災林を一緒に作って津波の被害を減らすなどの、生態系を利用した災害対策などが注目を浴びています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製造業(精密機械)/証券会社/大学教員/公務員

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渡邊 幹彦 先生がいらっしゃる
山梨大学に関心を持ったら

 山梨大学は、教育学部、医学部、工学部、生命環境学部からなる国立大学です。「地域の中核、世界の人材」というキャッチフレーズを掲げ、地域の要請に応えることができると同時に、世界で活躍できる人材の育成をめざしています。水素と燃料電池の教育研究の国際的拠点であるクリーンエネルギー研究センターは工学部と密接に連携しています。
 教育学部、工学部、生命環境学部のある甲府キャンパスと医学部キャンパスは離れていますが、1年次生は全員が甲府キャンパスで基礎学力の修得と人格の陶冶をめざした全学共通教育科目を履修します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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