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講義No.07267

肥満とがんと細い管:血管がつかさどる健康と病気

血管は毎日変化している?

 血管というと、あなたは何を思い浮かべますか? 栄養や酸素を血液にのせて供給する機能を思い浮かべると思います。また、見えないということで、「いつもそこにあるもの」というイメージが強く、「動く・構造が変わる」とは思われにくいものです。しかし、血管は、運動の後や病気になったときなどに、その構造をダイナミックに変えています。あなたの体内のミクロレベルの世界では、「血管が伸びる」「構造が変わる」といった現象が毎日繰り返されているのです。

脂肪細胞やがん細胞にも栄養を供給してしまう

 「肥満」のメカニズムも、血管の変化と密接に関わっています。脂肪細胞は、血管に対して「ここに血管を伸ばせ」と指令する物質(血管増殖因子)を出して栄養供給されるようにし、細胞を大きくします。その様子は、もともと何もなかったところに道路ができるようなものです。さらに、呼び込まれた血管の周皮細胞と呼ばれる細胞が分化して脂肪に変化し、さらに脂肪が増殖するというメカニズムもわかってきました。
 「がん」の成長にも血管が関係しています。がんは非常に活発に活動し、エネルギーを消費して増殖しますが、興味深いことに、その増殖の過程で自分に都合のよいように血管を取り込んでいくのです。

血管を制御して治療、再生医療への貢献を

 では、血管が伸びにくいように制御することができれば、がん細胞や脂肪細胞に栄養をやらない、つまり兵糧攻めにして治療できるという可能性が考えられます。現在、血管増殖因子を出さなくさせる、または因子を受け取る部分を阻害するための薬の開発などに向けた研究が進められています。
 反対に、因子の働きを活発にして血管を伸ばすように誘導することはまだ難しいのですが、これが可能になるとiPS細胞などから臓器を作る場合の応用も期待できます。血管のネットワークのダイナミックな変化に関する研究は、このように病気の直接の治療から再生医療への貢献にまで広がっているのです。


この学問が向いているかも 医学、基礎医学、生理学

岡山大学
医学部 医学科 助教
高橋 賢 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は医学部で生理学の研究をしています。ノーベル医学・生理学賞で知られる生理学は、生きる理(ことわり)を究める学問です。「医学」というと、一人の患者さんを相手に病気を治すというイメージがありますが、生理学は、病気の仕組みを調べ新しい薬や治療法を開発することで、多くの命を救うことをめざします。夢や希望がある分野です。
 高校までは教科書にあることが真実だという前提で勉強しますが、研究というのはこれまでの常識を新しく作り直すということでもあります。あなたが生理学に興味を持ってくれることを期待しています。

先生の学問へのきっかけ

 体の中では、見えないところで大きな変化が常に起こっています。血管もその場所の一つです。運動した後に体が丈夫になったり、がん組織がなかなか死ななかったりするのには、血管の変化が大きな影響を与えています。このように、健康や病気に血管が大きな役割を果たしているということにとても興味を持ちました。また最近話題のiPS細胞による再生医療でも血管を作って臓器が元気に働けるようにすることが重要です。血管の形をコントロールする技術を開発することで、再生医療の発展に貢献したいという思いで研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医師/大学研究者/医療・バイオ系会社研究開発職

大学アイコン
高橋 賢 先生がいらっしゃる
岡山大学に関心を持ったら

 岡山大学は、これまでの高度な研究活動の成果を基礎として、学生が主体的に“知の創成”に参画し得る能力を涵養するとともに、学生同士や教職員との密接な対話や議論を通じて、個々人が豊かな人間性を醸成できるように支援し、国内外の幅広い分野において中核的に活躍し得る高い総合的能力と人格を備えた人材の育成を目的とした教育を行います。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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