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講義No.07238

臓器を工場で生産する時代が来る!?

生体組織は再生する

 再生医療というと、iPS細胞に代表されるように医学だと思っている人が少なくありません。しかし英語では「Tissue Engineering」といい、直訳すると「組織工学」です。機械工学で自動車を製作する材料は金属やプラスチックですが、組織工学で生体組織を作る材料はコラーゲンなどのタンパク質と細胞です。
 指をケガした時、一週間ぐらいで治ります。人間のほとんどの生体組織には再生能力があるのです。生体肝移植で肝臓の半分を提供したドナーの肝臓は1年ほどで再生し、ほぼ元通りになります。ただし、脳神経と心臓は、生まれた時の細胞を一生使うので再生はしません。なぜそのような仕組みなのかは、まだ解明されていません。

工場で臓器をどうやって作るのか?

 この再生能力を生かして、生体組織を作り出す研究が行われています。コラーゲンなどと細胞を組み合わせて臓器を作り出すのです。一番の問題は臓器の形成で、体外では細胞をいくら集めても、先ほどの肝臓のように勝手に臓器の形にはなってくれません。コラーゲンなどで臓器の形を作っておき、その中で細胞を培養するのですが、正確な形を作るのは簡単ではありません。
 そこで考えられたのは動物臓器の利用です。ミニブタの臓器の大きさは人間のものとほとんど変わらないので、その臓器を取り出し、細胞を取り除いてコラーゲンだけの鋳型にします。そこへ人間の細胞を埋め込んで、人間の臓器として活用するのです。小指の先くらいの大きさであるネズミの心臓では成功例も報告されていますが、人間の大きさではまだまだ成功していません。大きな臓器を養うための毛細血管を作り出すことが、まだできないからです。しかし研究が進めば、自分の身体からiPS細胞を作り、工場で鋳型に埋め込み、臓器を再生させる時代が来ると思います。

人工食肉も作れる

 またこの技術を応用すれば、ウシの細胞を埋め込んだ人工食肉も生み出せます。もし、世界的な食糧難の時代が来たとしても、この技術で食糧難を乗り切ることができるでしょう。


この学問が向いているかも 生体組織工学

大阪工業大学
工学部 生命工学科 教授
藤里 俊哉 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生の時、将来をきちんと決めていたわけではありませんが、人に役立つ物作りがしたいと思い、工学関係とだけは決めていました。最後まで、好きな建築か得意な化学かを迷っていたのですが、偶然目にした新聞記事で、人工臓器の研究は生体材料学という化学の一分野であることを知り、おもしろそうだなと思って高分子化学に決めました。研究は人工臓器から再生医療へと移ってきましたが、おもしろい、と思うことは変わっていません。将来のため、好きなこと、得意なことを中心に、幅広い観点で、大学をリサーチしてください。

先生の学問へのきっかけ

 「組織工学」の専門分野に興味を持ったのは、大学に入る前に見た新聞記事がきっかけでした。「人工臓器をつくる研究所ができた」というその記事を見て、研究所に行ってみたいと思ったのです。もともとは都市計画などに興味があり、建築家をめざしたこともありましたが、同時に研究者にもなりたいという希望ももっていたのです。現在は、建物ではありませんが、人間の体を組み立てるという再生医療の道に進み、研究者になる夢をかなえました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療機器製造会社研究者/医療用具製造会社技術者/製薬会社技術者/食品製造会社技術者

大学アイコン
藤里 俊哉 先生がいらっしゃる
大阪工業大学に関心を持ったら

 大阪工業大学は、工学部・ロボティクス&デザイン工学部・情報科学部・知的財産学部の4学部17学科構成で、「人のために役立つものづくり」を追究しています。本学学生たちの学びの原動力は「社会を思う優しい気持ち」や「積極的に学問・技術を探究する情熱」。そのため、特色ある実験・演習やグローバル人材育成をめざした語学教育など、多彩な教育プログラムを展開しています。そんな「質を保証する教育」が高い就職実績につながっています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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