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講義No.07236

エネルギー問題の救世主になれるか? 夢の化学「光触媒」

汚れを勝手に分解する!

 光が当たると、自分自身は何も変化しないのに、周りの物質に化学反応を起こさせる不思議な力を持った物質、それが「光触媒」です。例えば、光触媒に「汚れ」のもとである有機化合物(炭素(C)や水素(H)でできている)が付着するとしましょう。そこに光が当たると、光触媒はそのエネルギーを吸収し、付着した炭素や水素は一旦切り離され、周りにある酸素(O)と結び付くことによって、炭素は二酸化炭素(CO2)に、水素は水(H2O)になります。つまり光が当たるだけで、自然に汚れが分解されてしまうというわけです。光触媒の持つこうしたセルフクリーニング作用は、現在、防汚・抗菌・浄水・脱臭などの分野において実用化されています。

世界中の研究者が注目

 光触媒は「酸化チタン」という化合物で、昔からおしろいの原料などに使われてきた物質です。光触媒の働きは、1970年代に、2人の日本人研究者によって発見されました。
 それ以後、世界中の研究者が考えたのは、「光触媒を使えば、燃料となる水素ガスを作れるのではないか」ということでした。太陽光を使って、もし安価で安全に大量の水素ガスを作ることができれば、世界のエネルギー事情は一変します。ノーベル賞どころの騒ぎではなく、世界史の教科書に名を連ねるような偉大な功績となるでしょう。

光触媒が世界を変える?

 今のところ、この壮大な夢が実現するかどうかは未知数です。なぜなら酸化チタンが反応するのは、太陽光にわずかしか含まれていない紫外線だけだからです。エネルギーとして使えるだけの膨大な量の水素ガスを作るには不十分なのです。
 今、こうしている間も、世界中の研究者たちは、紫外線以外のもっとありふれた光(可視光)をふんだんに使って大量の化学反応を起こすことができる新たな光触媒を血眼(ちまなこ)になって探しています。こうした研究の成果として新しい光触媒が発見されれば、光触媒は世界のエネルギー問題に貢献する救世主となるかもしれません。

参考資料
1:NaTaO3光触媒微粒子の表面科学

光触媒の分子科学

この学問が向いているかも 物理化学、化学、理学

神戸大学
理学部  教授
大西 洋 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 今、目の前にある物質はなぜこういう性質を示すのだろう? この「なぜ」について、主に物理的な手段で分析し、研究するのが「物理化学」です。化学の世界は不思議に満ちあふれています。なぜ化学変化するのか? そこでは一体、何が起こっているのか? それらを突き詰めると、何年かに一度、「そうだったのか!」と腑(ふ)に落ちる瞬間があります。これこそが研究の醍醐味であり、私自身のモチベーションになっています。興味を持ってくれたなら、ぜひ一緒に研究しませんか?

先生の学問へのきっかけ

 大学3年生のとき、触媒に関する講義を聴いたときに、高校の教科書にも書いてあった、「自分自身は変化しないのに反応を早く進める物質」という触媒の性質にとても興味を持ちました。そして、「どうしてそんなに都合のよいことが起きるのか不思議だから、自分で調べてみたい」と思ったのです。さらに、実験が好きだったのも化学に進んだ理由のひとつでした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学メーカー研究開発員/電機メーカー研究開発員/大学教員

大学アイコン
大西 洋 先生がいらっしゃる
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